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通い猫アルフィーの奇跡/レイチェル・ウェルズ

通い猫アルフィーの奇跡

通い猫アルフィーの奇跡

原題:Alfie the Doorstep Cat

(※ネタバレありです)

1. アルフィー

猫が主人公の小説を読んだ。

『通い猫アルフィーの奇跡』

「飼い猫」でもなく、「野良猫」でもなく、「通い猫」のアルフィーとはどんな猫か?

アルフィーは元飼い猫だった。

が、飼い主の老婦人が亡くなり、野良猫となった。

野良猫の生活は危険に満ちており、心も体も休まるスキがない。

あるとき偶然出会ったボタンという名前の猫が自称“通い猫”だった。

ボタンによると通い猫は「複数の家族から何度も食べ物をもらえ、かわいがられ、世話をされて、ハイレベルな安全を確保できる」らしい。

アルフィーもボタンをみならって、通い猫になることを決意した。

アルフィーが直感で目をつけたのはロンドンにあるエドガー・ロードだった。

ボタンが言うには、空き家や売り出し中の看板は新しい住人が増えることを示していて、新しい住人がいちばんほしがるのはアルフィーみたいな猫だという。

2. クレア

最初の通い先はクレアの家だった。

クレアはやせて不健康な感じの若い女性だった。

引っ越し早々ワインをがぶ飲みして、酔っ払って泣いてばかりで元気がない。

あとで聞いた話によると、クレアは夫に浮気され、離婚して、引っ越してきたのだという。

心が空っぽのクレアはアルフィーを受け入れてくれた。

のちにクレアに新たな恋人ができた。

が、ジョーは最低最悪のDV予備軍だった。

アルフィーは最初からジョーの正体を見抜き、クレアが危機一髪になる寸前に命を賭してクレアを救った。

3. ジョナサン

2軒目の通い先は中年男性ジョナサンの家だった。

ジョナサンはだだっ広い家にひとりきりで住んでいた。

ときどき女性が遊びにくる。

クレアの家もそうだったが、ジョナサンの家にも裏口に猫ドアがついていた。

そこからアルフィーは知らない人の家に自由に出入りできる。

猫に入ってほしくなければ、猫ドアをふさがなければいけない。

ジョナサンは仕事を失い、恋人を失い、シンガポールから帰国したばかりだった。

最初はアルフィーをはっきり拒絶していたが、拒絶されてもアルフィーはあきらめなかった。

何度も通って、死んだネズミをプレゼントして、次第にジョナサンに受け入れられていった。

4. マット/ポリー/ヘンリー

アルフィーが目をつけた小さな家には3人家族が引っ越してきた。

夫のマットは新しい仕事を始めたばかりで大変忙しかった。

マットは猫の扱いがうまく、アルフィーに優しく、とてもいい人だった。

たまたまアルフィーが死の危険に瀕したときに通りかかり、命を救ってくれたこともあった。

妻のポリーは迷信をしんじており、最初は猫の存在を怖がった。

ポリーは育児ノイローゼに苦しんでいた。

良い母親でないことを恥じていて、育児がうまくいってないことを夫に隠していた。

あるとき息子のヘンリーを虐待する寸前でアルフィーやフランチェスカに助けられ、病院に通うことになった。

結局、自分の苦しみを周囲の人たちに話すことによって、大きな協力が得られ、薬のたすけもかりて生活をたてなおしていった。

5. フランチェスカ/トーマス/アレクセイ/小さいトーマス

ポーランドから移住してきた4人家族。

母子は必死で英語をおぼえている。

アルフィーの力添えによって、隣り同士の2軒の家族に交流が生まれた。

子育てのいちばん大変な時期を通り過ぎたフランチェスカは、ポリーの友人となり、子育てにかんしてもアドバイスを与えたり、支えになった。

6. 通い猫

20年以上前に、夫の両親が住んでいた一戸建てに一時期住んでいた。

ある日いきなり遊びにきて、エサをねだり、強引に住みついてしまった猫がいた。

その猫は近所の子どもから別の名前で呼ばれていた。

この本を読むと「通い猫」だったことがわかる。

通い猫がアルフィーのように考え、計画し、行動していると思うとおかしい。

もしかしたら通い猫についてここまで詳しく書かれた本はあまりないかもしれないので、猫好きにはぜひ読んでほしい。

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