夫のうつ病が心配
自分自身にうつ病の傾向はないのだが、サラリーマンの真面目な夫は仕事をかかえこみすぎて、ときどきノイローゼ気味になり言動がおかしくなる。
とくに40代〜50代になると体力、処理能力が落ちるのに反して、仕事量、雑務が増えていく。
私が見たところ時間、能力的に可能な仕事量の3倍の仕事を引き受けて(押しつけられて)いることがある。
やってもやっても作業は終わらず、締切のストレスでさらに集中力、パフォーマンスが落ち、ダメになっていく。悪循環にはまりこむ。
ダメなときの夫は明らかに思考力、記憶力、判断力が落ちている。
私はストレスをぶつけられてムカつきつつも『うつ病』かもと心配した。
でもやれることは何もなくて、ひそかに本やインターネットでうつ病の研究をするくらいだ。
うつ病の本を読むと、夫はうつ病ではないことがわかった。症状が当てはまらないのだ。
「脳疲労」社会
最近、徳永雄一郎著『「脳疲労」社会』を読んだ。
脳疲労→脳不調(前うつ病)→うつ病にかんする本だ。
それによると、夫はうつ病の手前の手前の脳疲労であったことがわかった。
実際には職場のシステムが変わり、夫の作業負担は軽減され、今は健康だ。
夜眠れて、食欲があるうちは、まだぜんぜん大丈夫みたいだ。
うつ病にかんする研究は進んでいる。
徳永雄一郎作ストレスチェック表で自己チェックするとうつ病かどうかが点数でチェックできる。
うつ病までの筋道は①脳疲労→②脳不調→③うつ病と悪化する。
脳疲労の症状としては・・・
(ストレスチェック表より)
(1)日曜日はぐったりしている
(2)能率が悪くなり集中力が低下した
(3)いつも仕事に追われている感じがする
(4)物忘れが増えた
(5)テレビや新聞を見ても内容が頭に入りにくい
(6)物事の判断がつきにくい
脳疲労がもっと悪化してうつ病になると・・・
(1)仕事をする気が起こらない
(2)身だしなみを整えるのが面倒になった
(3)自分が弱くなった感じがする
(4)気持ちが晴れない
ストレスチェック表は本当は40項目ある。
自己チェックもできるし、家族がチェックすることもできる。
対処法も書いてあるのでいちど読んでみてほしい。
ツレがうつになりまして。
実際のうつ病の典型的なパターンを知りたければ、細川貂々の漫画『ツレがうつになりまして。』を読んでほしい。
『「脳疲労」社会』で読んだうつ病の症状がすべて当てはまるのが「ツレ」さんなのだ。
几帳面で完璧主義の真面目な性格。
職場でリストラがあり生き残ったのはいいが、仕事量が許容量を超えて脳疲労→脳不調→うつ病になった。
眠れない日々が続き、寝床から起き上がれなくなった。
食べ物は砂をかむようでおいしくなく、食欲が落ちた。好きだった食べ物にも手をつけなくなった。
胃の調子が悪くなった。
明るい性格が暗くなり、グチっぽくなった。
新聞を読まなくなった。
テレビを見なくなった。
休日に出かけられなくなった。
マイナス思考のかたまりになった。
結果、仕事を辞めた。
病院にかかり、抗うつ剤を飲み、それでも1年以上かかってうつ病を克服していった。
うつ病は、対処するタイミングが早ければ早いほど回復が早くなる。
しかし、うつ病にかんする知識がないと、別の病気(頭痛、胃炎など)と勘違いして治療の開始が遅れてしまう。
ストレスの多い現代では、誰もがうつ病の本をあらかじめ1冊は読んでおくと発症を予防しやすくなると思う。
『「脳疲労」社会』と『ツレがうつになりまして。』をセットで読むとうつ病についてよく理解できるのでおすすめだ。
現代型うつ病
『「脳疲労」社会』には、少しだけど新型のうつ病についての記述があり興味深かった。
「現代型うつ病」というそうだ。
上に書いたような典型的なうつ病は40代〜50代の人がなることが多い。
それに反して20代〜30代の人がかかるうつ病は、もっと変則的で上のパターンがかならずしも当てはまらないそうだ。
うつ病中も体調が良くなったり悪くなったりとムラ気。
自分の問題に向き合うことが苦手。
問題を他人のせいにする。
攻撃的な態度をとる。
回復を望むきもちが薄い。
突発的に自殺をこころみる。
といった特徴があるそうだ。
でも心の奥底には深い悲しみや誰かに頼りたい、相談したいきもちがあり、きっかけさえあれば心が開かれていく。
30歳のうつ病患者さんの成功例がのっていた。
といっても2年以上うつ病が回復の傾向をみせなかった。
が、10人ほどでおこなう集団での治療プログラムが心をほぐすきっかけとなり、回復に向かっていったという。