なんとか自分を元気にする方法

おのぼりさん

浅草

◎おのぼりさんの楽しみ

地方から東京見物などにやってきた人のことを「おのぼりさん」といいますね。
私がそれです。
生まれも育ちも西国で、東京で暮らすようになったのはここ10年のことです。
10年間東京の空気を吸っていれば都会人になれるかといえばそうは問屋が卸さない。
さすがに歩くペースや話すスピードは周りに合わせて速くなりましたが、それは表面的に同化させているだけであって中身は田舎者そのものです。今後何10年暮らしても都会人に変わる日は来ないでしょう。

読書が好きなので、東京の名だたる街を自分の足で目で確認できたのは最高のよろこびでした。一つ一つのキーワードに血肉が通って、文章がまるで映画化されたようにリアルに頭の中に広がっていきます。

おのぼりさんの立場からいえば、「百聞は一見にしかず」という言葉は東京のためにあるのではないでしょうか。ほかの地方都市とは比べものにならない街のバリエーション。街々のキャラが立ちまくっていて個性的。町並・空気感・テーマ・人柄がそれぞれ全然ちがう。

◎浅草

たとえば浅草は下町の江戸っ子風。町並はまるで時代劇のセットみたい。四季折々をいろどるお祭り好きの街でいつもざわざわと忙しく多くの観光客を集めている。外国人が期待する日本的な雰囲気、江戸っぽい風物を楽しみたいならやはりここがいちばん。実際に外国人の観光客であふれかえっている街の様子をみればそのことは証明ずみかも。浅草の人たちも自分たちの立ち位置をよく把握していて街の精度に磨きをかけるのを怠らない。行くたびに良い意味でますます作り物っぽくなっているのだ。「ファッショナブルな都会人」とは真逆のキャラ。飾り気のない人柄。観光の街らしく誰でも受け入れてくれる懐の深さがあり、身なりを気にせずいつでも気楽に遊びにいける。

◎渋谷

渋谷は、駅中心に雑多なアイテムが限界ギリギリの密度で詰め込まれた街だ。駅自体、生き物のようにかたちを変えながら成長しつづけている。気づけばニョッキリと駅ビル「ヒカリエ」が生えてたりしてそのパワーにはいつも圧倒される。街には若者が多い。自分独自のファッションセンスを誇示している人もいる。自意識過剰な若者特有のピリピリとした電波が空中を飛んでいるかのようだ。外国人も多く浅草に比べれば白人率が高い。なぜか海外からの観光客には駅前のスクランブル交差点が人気だという。セレクトショップ・洋服屋・カフェ・レストラン・居酒屋・雑貨屋・ヘアサロン・カラオケ・ライブハウス・ホテル等が迷路を構成する壁のように立ち連なっている。人々は各店舗に入ったり出たりをくり返しレストランで食べたり飲んだり目当ての施設でイベントを楽しんだりして長々と渋谷で遊んでいる。渋谷は文化の街でもある。駅から文化村通りを歩いていくとBunkamuraがある。展覧会・映画・コンサート・オペラ・バレエなどを楽しめる総合文化ホールだ。東急百貨店本店と隣り合っていてこの一画は年齢層が高い。もう少し歩くと紅白歌合戦や有名歌手のコンサート会場となるNHKホールがある。

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