高齢の両親への備え
離れて暮らす夫の両親が93歳と88歳と高齢なので、介護の問題などがいつふりかかってくるか分からない。
私たち夫婦には子どもがおらず、私は義母と付かず離れずの関係をキープし嫁姑としては結構うまく付き合ってきたので、助けが必要なときはできるだけサポートしたいと思っている。
嫁と姑が互いに相手を嫌わずに四半世紀以上関係を続けてこれたのは、ひとえに姑が賢いからだと思う。
こういった上下関係においては、立場が下の者に主導権はないからだ。
そんな姑は認知症の家系なのだと夫は言う。
最近、物忘れや頓珍漢な言動がときどき見られるようになってきた。
だから備えとして認知症関連の本を図書館で借りて読んだり、最終的な医療のあり方について研究したり、考えたりしている。
なにしろ私は介護や看取りについてはまったく何も知らない。
姑が認知症になって、これまでと異なる予想もできない行動を始めたら、混乱して逆上するだろう。
そうなりたくないから今から勉強している。
最良の終末期医療とは?
認知症の本からいつの間にかその周辺部にずれて『欧米に寝たきり老人はいない』を読んだ。
実際に終末期医療にかかわっている医者夫婦が書いた本なので、とても参考になり、ためになる。
特に本書では、日本で当たり前に行われている終末期医療が、他の国ではまったく行われていないという天と地がひっくり返るような事実が明らかにされている。
また高齢の親を看取るというような経験は人生においてめったにあることではなく(最大で4回くらいなのか?)、誰もが親の最期に直面して混乱・逆上するだろう。
『欧米に寝たきり老人はいない』を読めば、高齢の親の終末期にどのように対処すべきかが分かってくる。
1.経管栄養・胃ろうはしない
高齢者に苦痛を与えて、寝たきりのまま長生きさせてしまうから。
2.食べられる限り・飲める限り、自力で生きてもらう
人間は最終的には、死期が近づくと(約2週間前くらいから)、だんだん食べなくなり、飲まなくなっていくという。
意識が朦朧としてきて、苦痛も感じなくなっていく。
最後は眠るようにして亡くなる。
3.終末期はなるべく点滴もしない
死期が近づくと、体が自然に枯れて死への準備を始める。
その流れに対して中途半端に栄養を与えると、自然なタイミングで死ねず、延命された期間の分だけ不必要に痩せてしまう。
胃ろうも点滴もしないで、眠るように安らかに亡くなる、という事実を裏づける研究があります。動物を脱水や飢餓状態にすると脳内麻薬であるβーエンドルフィンやケトン体が増えます。これらには鎮痛・鎮静作用があります。自然な看取りで亡くなった方にも同じことが起こっているはずです。