土曜日に新宿の末廣亭に柳家小三治の落語を聞きに行った。
寿正月二之席の夜の部のトリが小三治だ。
昼夜入替なしなので、昼の部の中入り(2:30)のあたりで寄席に入りこみ、昼の部のお客が退出する際に夜の部(5:00~)の座席を確保しようという作戦。
寄席は予約ができないデメリットはあるが、途中入場できるので都合のよいタイミングでふらりと立ち寄れるというメリットがある。
なにしろ小三治の高座はたぶんいちばん混雑する。
夏にも池袋や新宿の寄席に小三治の落語を聞きに何度か足を運んだが、平日でも開場の1時間前から行列するのが基本姿勢みたいになっている。30分前に行くとすでにかなり行列が長くなっている。
池袋演芸場は立ち見スペースが少なくて、立ち見が苦しい。
新宿末廣亭は立ち見スペースに余裕があり快適で、足が丈夫な人ならば何時間でもそこで見ていられるだろう。
末廣亭ではスタッフが、客を効率よく着席させることに熱心だ(1個でも空いてるスペースを器用に見つけてくれる)。
私たち夫婦が入場したのは、中入り前の落語の途中だったが、スタッフがきびきびと案内してくれてスムーズに2階席にすわることができた。いちばん前の席だ。
2階席は桟敷席だ。畳敷きの棚田のようになっており、小さな座布団が置いてある。
だが、ほとんど自分の割当てスペースに余裕はない。横すわりしたり、足がしんどくなるので体育すわりに組みかえていると、ときどき隣りの人や後ろのに足の先があたってしまう。体を可能な限り縮めてすわりつづけた。
最初にすわった瞬間から片足の親指がつりぎみだったので、数時間に及ぶ、なかなかつらい寄席になった。
私は暑いのが苦手なのだが、2階席は明らかにかなり室温が上っていてとても息苦しいのだ。
昼の部が終わり、1階のイス席か桟敷席のどこかが空かないかと2階から眺めたが、連れが「ここでいいじゃん」というのでしかたなく移動をあきらめた。
でも4時間以上が経過して夜の部の中入りになったとき、暑くて体じゅうが窮屈で気分が悪く「もうこれ以上耐えられない」と思った。せっかく楽しみにしていた小三治をこんな最悪のコンディションでで見たくない。
1階の女子トイレに行きがてらイス席と桟敷席の空き状況を調べてみた(2階にもトイレがあるがせまい)。1階に降りると、かなり涼しくて気持ちがいい。
足は頑丈で長時間立っているのは平気なので1階の後方で1人で立ち見するかなと思っていたら、スタッフが「桟敷席が空いていますよ」と声をかけてくれた。1階に2人分の座布団が空いていたので2階に声をかけて連れにも移動してもらった。1階の桟敷席は2階よりも1人分の割当てスペースが広くて居心地がよい。2列の後ろの席だと背もたれもあるし。
そうはいっても、2:30~9:00ごろまで寄席にぎゅうぎゅうに詰めっきりで、今回はさすがにコリゴリしてしまった。
この日の演者もしゃべっていたが、小三治の出演日には客が異常に集中する。平日でも座席を確保するのが困難だ。
今後NHKの大河ドラマ『いだてん』効果でさらに競争が激化するかと思うと「もう小三治はいいや」という気分になった。
結局この日は小三治の「転宅」よりも昼の部のトリの市馬の「片棒」にいちばん笑って盛り上がってしまったし。まあ噺のタイプがちがうけど。
他にも面白い落語家はいっぱいいるのだ、と最近わかってきたところだ。