(※以下ネタバレありです)
レンタル後まとめ買いした
仕事が続くと気づかないうちに疲労がたまっている。
なんとなく気分も沈みがちになる。
「そういうときは・・・漫画!」と思い出して、ツタヤに行った。
『山賊ダイアリー』に目をつけて、「もしかして面白いかも・・・」と「もしかしたら自分には合わないかも・・・」と思いながらためしに1・2巻レンタルしてみた。
アッという間にはまって、残りの5巻分もレンタルして、その後アマゾンで全7巻をまとめ買いした(後にSSも買った)。
猟師のなり方
今の時代に、わざわざ猟銃免許をとって狩りを始める若者がいるなんて・・・と驚いた。
だがやはりその行動には伏線があり、小さな頃に近所に猟師のおじいさんがいて、鳥獣のとり方を教えてもらったり、さばいた肉を一緒に食べたりというインパクトのある実体験があるのだ。
一度は上京して会社勤めをしていたが、小さい頃に埋め込まれた種から芽が伸びて、けっきょく狩猟の道にすすむことになる。東京から岡山のいなかにもどり、猟師兼漫画家として生きているのが作者の岡本健太郎である。
狩猟期間はたった3か月間なので、それ以外の期間は魚を釣って食べたり、漫画を描いたりして暮らしているらしい。
猟銃免許と銃を所有し狩りをする人たちは自らを「猟師」と呼ぶが、狩猟期間が短すぎるのでみんなほかに本業を持っている。狩りだけで生計をたてている人はいないようだ。
狩猟免許試験の様子、猟銃所有までの手続きなどについても描かれているので、狩猟を始めたい人の入門書としてもおすすめ。
美味しそうな野性鳥獣の肉(例外もあり)
『人体の不思議展』ではないけれど、体の中の見えない部分がどうなっているのかに興味がある。でもふつうは見られないものだ。医者が主人公の『グレイズ・アナトミー』というアメリカのドラマシリーズの外科の手術シーンを熱心に見ているくらいだ。
あとは種にこだわらなければ、スーパーで魚を丸ごと1尾購入して自分でさばけば内部をくまなく見ることができる。これもなかなか面白い。
『山賊ダイアリー』では、イノシシやシカをさばいて肉を食べるというダイナミックなシーンがある。作者は野性的なタイプの人間で一般には食べたくない動物・内臓などもきれいに処理してなんでも食べてしまう。とても好奇心旺盛なのだ。調理方法や肉の味や臭いに関する感想がちゃんと書いてあるので読んでいて楽しい。肉にはすぐにでも食べたくなるような美味なものと、絶対に食べたくないと思わされる臭いの強いものがある。
猟銃免許をとったり実際に鳥や動物を狩りたいとは思わないけれども、解体はおもしろそう。動物のイラストはかわいらしく見ているだけで楽しい。肉になるとうまそう。
自然=危険地帯
だが、いちばんのネックは、狩猟期間が毎年11月15日から翌年の2月15日までだということだ。一年でもっとも寒い時期に、銃をかついで雪山まで行き、鳥獣を求めてさまよい歩くなんて耐えられない。現代人でこの高いハードルをクリアできる人がどれほどいるのだろうか・・・と思う。
だが、意外にも狩猟は最近すこしはやっているらしいのだ。
狩りはだいたい山で行われる。ふつうの人は入らないような山道・獣道をすすんでいく。マムシがいたり、バイクごと転げて谷にすべり落ちたり、体のあちこちをケガしたり、目に笹の枝が刺さって病院に行ったり、スズメバチに刺されて足が腫れ数か月にわたって変色したり、サルに弁当を食べられたり、真冬なのに水中を歩いたり、なぜか釣り糸が顔に刺さったりと痛い経験も満載。山=自然=危険地帯である。自分で自分の身を守らなければならないサバイバル地帯。インドア派には恐怖体験に思える。
作者が食べたモノたち
ウサギ・ハト(砂肝・レバー・心臓・肉)・マムシ(心臓・肉)・カモ・ウナギ・イノシシ(心臓・レバー・舌・肉)・ヒヨドリ・カラス・スズメバチの幼虫・キジ(内臓・肉)・シカ・ブルーギル・スッポン(生き血・内臓・卵・甲羅・肉)・アマゴ・ザリガニ・ミドリガメ(レバー・肉)・ウシガエル・トノサマガエル・ヌートリア・ヒドリガモ・マゴイ・ニゴイ・ナマズなど
さいごに
作者は罠猟の免許も持っていて2巻でイノシシを罠にかけてつかまえる。猟師になって初めての大きなうれしい獲物だが、罠だと生きているので自分でとどめをさす必要がある。動物はどこか愛嬌があってかわいらしい。作者が複雑な気持ちをいだいたまま命を奪うシーンがある。
他にも動物の命を奪って食べるのがどういう気持ちなのかを経験したくて実際に試した人がいた。
内澤旬子である。
猟師とはまた違ったアプローチで食肉を自分の手で求めるこころみをした。
3匹の豚をわざわざ飼育してそれを食べたのだ。
興味のある人はあわせて読んでみてください。
『山賊ダイアリー(1)』のAmazon商品ページ(Kindle版)
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