なんとか自分を元気にする方法

今夜すきやきだよ(1)/谷口菜津子

今夜すきやきだよ

今夜すきやきだよ

(※ネタバレありです)

女子2人暮らしのお話で、食べ物の話題があり、とても売れていて、賞(手塚治虫文化賞の新生賞)も受賞した作品というイメージで1巻目を本屋で買って読んだ。

1人目の主人公は、結婚願望が強いけど家事がまったくできない内装デザイナーのあいこ。

2人目の主人公は、料理など家事全般が得意だけど結婚願望なし。絵本作家を目指してるともこ。

2人は32歳。

各自の得意分野をいかし、家賃の8割はあいこが支払い、家事すべてをともこが担当するという取り決めで、2人の共同生活は始まった。

タイプの違うあいことともこだが、2人の生活は一般の夫婦2人の生活よりも平穏でうまくいっているように見える。

まれに価値観の違いで衝突することはあるけれど。

でも互いにすぐに反省して、関係は元にもどる(むしろケンカ前よりもいい関係に)。

主役女子の関係に問題がなければ、この漫画のテーマは何かというと、男女の価値観のズレと世間が押しつける「女らしさ」「男らしさ」の罠だ。

ともこは恋愛がピンと来ない体質なので男女間の対立はない(男友達とは良好な関係)。

しかし、あいこは恋愛体質で、女らしい女の子を好きになるタイプの男の子を好きになる。

彼氏はあいこに必ず手料理を求め、あいこはできないので関係はほころびる。

原始人体質(男は狩り/女は料理と思い込んでる)が抜けない彼氏に対し、現代人のあいこが、そのパターンを切り崩しどうやって乗り切るかが漫画の読みどころの1つとなっている。

ご飯も炊けないのにお嫁さんになりたいあいこに対して、結婚願望のないともこは言う。

お嫁さんじゃなくて
誰かの心の栄養になれるような絵本や
おいしいご飯を作れる
魔法使いみたいな人になりたい

ともこの夢は自分ひとりで実現できそうだ。

が、あいこは彼氏にプロポーズされて、結婚話をしているうちにこの状況から逃げ出したくなってくる。

相手の両親から押しつけられる古い価値観、どちらの姓を選ぶか問題、家事に対する感性の違い、子どものこと・・・

でも結婚相手のゆきのことは大好きだし、結婚はしたいしでジレンマに苦しむ。

意外にも、ゆきの方もあいことの結婚に前途多難な予感を感じていた(同棲生活の段階ですでに)。

家事ができないあいことの暮らしはゆきにストレスを与える。

ゆきは別居婚を提案し、うまくいきそうに見えた矢先、あいこの妊娠が発覚!?

今どきの女子、男子が直面する問題をすくい上げた漫画です。

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