なんとか自分を元気にする方法

コロナで生活が楽になったような、苦しくなったような

漫画

今夜すきやきだよ(1)/谷口菜津子

投稿日:2022年5月26日 更新日:

(※ネタバレありです)

女子2人暮らしのお話で、食べ物の話題があり、とても売れていて、賞(手塚治虫文化賞の新生賞)も受賞した作品というイメージで1巻目を本屋で買って読んだ。

1人目の主人公は、結婚願望が強いけど家事がまったくできない内装デザイナーのあいこ。

2人目の主人公は、料理など家事全般が得意だけど結婚願望なし。絵本作家を目指してるともこ。

2人は32歳。

各自の得意分野をいかし、家賃の8割はあいこが支払い、家事すべてをともこが担当するという取り決めで、2人の共同生活は始まった。

タイプの違うあいことともこだが、2人の生活は一般の夫婦2人の生活よりも平穏でうまくいっているように見える。

まれに価値観の違いで衝突することはあるけれど。

でも互いにすぐに反省して、関係は元にもどる(むしろケンカ前よりもいい関係に)。

主役女子の関係に問題がなければ、この漫画のテーマは何かというと、男女の価値観のズレと世間が押しつける「女らしさ」「男らしさ」の罠だ。

ともこは恋愛がピンと来ない体質なので男女間の対立はない(男友達とは良好な関係)。

しかし、あいこは恋愛体質で、女らしい女の子を好きになるタイプの男の子を好きになる。

彼氏はあいこに必ず手料理を求め、あいこはできないので関係はほころびる。

原始人体質(男は狩り/女は料理と思い込んでる)が抜けない彼氏に対し、現代人のあいこが、そのパターンを切り崩しどうやって乗り切るかが漫画の読みどころの1つとなっている。

ご飯も炊けないのにお嫁さんになりたいあいこに対して、結婚願望のないともこは言う。

お嫁さんじゃなくて
誰かの心の栄養になれるような絵本や
おいしいご飯を作れる
魔法使いみたいな人になりたい

ともこの夢は自分ひとりで実現できそうだ。

が、あいこは彼氏にプロポーズされて、結婚話をしているうちにこの状況から逃げ出したくなってくる。

相手の両親から押しつけられる古い価値観、どちらの姓を選ぶか問題、家事に対する感性の違い、子どものこと・・・

でも結婚相手のゆきのことは大好きだし、結婚はしたいしでジレンマに苦しむ。

意外にも、ゆきの方もあいことの結婚に前途多難な予感を感じていた(同棲生活の段階ですでに)。

家事ができないあいことの暮らしはゆきにストレスを与える。

ゆきは別居婚を提案し、うまくいきそうに見えた矢先、あいこの妊娠が発覚!?

今どきの女子、男子が直面する問題をすくい上げた漫画です。

-漫画

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

駄菓子の漫画と効用

『だがしかし』 byコトヤマ 自分史空前の漫画ブームがきている。 最近忙しくて疲れていて、本よりももっと楽に気晴らしできるものがあれば…と考えて、漫画を手にとった。 本はどんなに軽い読みものでも、基本 …

『重版出来』by松田奈緒子

『重版出来』(じゅうはんしゅったい) by松田奈緒子 (※ネタバレありです) ◎まえがき 本当に漫画って面白い! 漫画家はすごい! 漫画雑誌はこんなふうにつくられる。 漫画家はこんなふうに漫画を創作し …

吉祥寺だけが住みたい街ですか?

吉祥寺だけが住みたい街ですか?/マキヒロチ(講談社) (※以下ネタバレありです) はじめに マネキンの仕事で色んな街に行くことが多いので、この漫画は共感度・楽しさ100パーセント。 「自分に合う漫画」 …

『家栽の人』by毛利甚八

◎はじめに 裁判にはまっている。 関連本をいろいろ読んで、実際に裁判の傍聴にも行ってみた。 法廷には、読んでイメージするのとはまったく違う世界がひろがっていた。 そしてまた本を読み、漫画を読み・・・ …

インド夫婦茶碗

インド夫婦茶碗/流水りんこ

『インド夫婦茶碗』は、成り行きでインド人と愛なく(!?)結婚した漫画家・流水りんこの実録漫画だ。 流水りんこは、1年の3/4を日本で漫画を描き、残りの1/4をインドで暮らしていた。 10年間もそんな生 …




 

椎名のらねこ

コロナで仕事がなくなり、現在は徒歩圏内の小売店でパートしてます。自分の気晴らしに、読んだ本、美味しかったものなどについて昭和的なセンスで記事を書いています。東京在住。既婚/子なし。

お問い合わせ先:siinanoraneko@gmail.com