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漫画

吉祥寺だけが住みたい街ですか?

投稿日:2018年9月13日 更新日:

吉祥寺だけが住みたい街ですか?/マキヒロチ(講談社)

(※以下ネタバレありです)

はじめに

マネキンの仕事で色んな街に行くことが多いので、この漫画は共感度・楽しさ100パーセント。
「自分に合う漫画」ベストワンかもしれない。

作中でも「東京ってすごい」というセリフがつかわれているけど、地方から出てきて住みはじめた頃は本当に「東京って、すごい!」の連続だった。
そして10年以上たった今でもリアルタイムで「東京ってすごい」を体験しつづけている。

あらすじ・感想

双子の重田都子・富子が主人公で、亡くなった両親のあとをついで重田不動産を営んでいる。

作中の客は一人暮らしのアラサーの女性が多い。
物件の希望家賃はだいたい8万円くらい。
会社員、ショップ店員、フリーランスなど、職業はいろいろだが、皆、とても真面目に働いている。

この漫画では、「働くこと=素晴らしい」という価値観が根底に流れているような気がする。

「働く→自分の居場所を確保する→自由を獲得する」という流れで自立に向かう。

重田姉妹も生涯独身願望だし、吉祥寺に不動産を求めてやってくるアラサー女子もとりあえず「単身生活を楽しもう」という気概にみちている。

自立した楽しい生活の手助けをしてくれるのが、まるでアラジンのランプの精のような不思議な2人の姉妹なのだ。

客の潜在的な希望をくみとって、魔法のようにピタリと合う街と家につれていってくれる。
そこで客は予想外の新しい人生を始めることができる。
新しい街が、彼女たちの人生の疲れを癒してくれる。

いちばん好きだった話

いちばん好きだった話は5巻の「毎日がレジャー気分」。

タイトルを読んで浅草かと思ったけど水道橋が物語の舞台だった。
確かに東京ドームシティの遊園地や商業施設があり毎日イベントてんこ盛りだ。

新小岩から新宿まで毎日このレジャー施設を車窓からながめて「途中下車していってみようかな」と思いつつも、チェーン系の居酒屋の正社員としての激務に追われて希望を果たせず2年が経過した、という設定がいい。

これまで自分がサービス業とか飲食店でばかり働いていた経験から、この居酒屋勤務に疲れた地方出身女子の物語にかなり引き込まれてしまった。

ずっと乗りたいと思っていたスカイフラワーから美しい東京を発見する瞬間は本当に感動的!

インスタ女子の話

流行りのインスタ女子が予想外の物件に出会う話もおもしろかった。
5巻の「自分を好きになる街」。
彼女の仕事は台湾華語の翻訳者。

この女子はインスタで「いいね」やコメントをもらうのが仕事の気晴らし・日々の楽しみになっていてそれはいいんだけど、「いいね」の反応が期待はずれだとビックリするほど気分が落ち込んでしまう。生活がSNSにふりまわされている感がある。やめようと思うけど、どうしてもやめられない。

重田姉妹と出会って、物件を見に鎌倉まで行って、半日一緒に散策を楽しんで、インスタやりすぎを指摘される。

けっきょく鎌倉の海のある暮らしに心ひかれて移り住んだ。
新しい生活に合わせてバイクを買って乗るようになった。
バイクを運転しながら写真は撮れないので自然にインスタの手グセがなおり、あちこち立ち寄るうちに地元の顔見知りもできた。
生活がまったく新しくなった、という話。

身につまされた話

4巻の最初の話「東京に住む理由」。
漫画家志望の地方出身の女子が主人公。
なかなかネームが通らなくてデビューにつながらない。
吉祥寺で友人と同居しながらフリーター生活を余儀なくされている。

この子の口グセが「でも・・・」
そして、この物語を読んで、私の口グセも「でも・・・」だと気づいた。
重田富子は「“でも”って言わないほうがいいんじゃないかな・・・“でも”って、楽しかったこともいいなって思ったことも全部消しちゃう言葉だと思うんだ」と指摘する。
身につまされた。
今後はなるべく「でも・・・」って言わないようにしよう。

リノベーション

賃貸物件だけでなく、重田姉妹が実家をリノベーションする話も登場する。
いまどき新築の家を購入するのは大変なので、中古物件を買って自分好みにつくりかえる人が増えているそうだ。

重田姉妹は建て替えだとお金も時間もかかるので、リノベーションもありかと考え、リノベ済みの家の内覧会に足を運んだり、リノベ・デザイナーに相談したり、「コンセプト」「NGワード」といったキーワードも学びつつ紆余曲折のすえ実現にこぎつける。
その過程が2巻から5巻現在まで継続中・・・6巻で完成!双子も満足。

おわりに

この漫画には実際に存在する街・物件・店舗が登場するので、行ったことのない東京の街を研究する参考書になります。
また、東京ならではの「こんな物件があるんだ!」とういうリアルな不動産案内にもなっている。
オシャレな物件はあたりまえ、シェア住宅、ロフト・掘りごたつ付住宅、見たことないような最先端のデザイン団地・・・一度は住んでみたい街・物件があふれている。

重田姉妹の自然体のキャラもいい感じ。
ほんとに読むだけでとっても癒やされるオススメ漫画です。

街リスト

1巻(雑司が谷、五反田、錦糸町、駒沢大学、中野)
2巻(秋葉原‥リノベーション‥蔵前、経堂、神楽坂)
3巻(リノベーション‥恵比寿、十条、福生‥リノベーション‥東京のいろんな図書館)
4巻(大森、池袋‥リノベーション‥二子玉川、北千住)
5巻(野方‥リノベーション‥水道橋、鎌倉、高島平)
6巻(松陰神社前、蒲田‥リノベーション完成‥千駄ヶ谷、砂町)

■吉祥寺だけが住みたい街ですか(6) – マキヒロチ

吉祥寺だけが住みたい街ですか(6) – マキヒロチ(講談社)

マキヒロチのプロフィール(写真有)

関連記事:いつかティファニーで朝食を/マキヒロチ

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椎名のらねこ

コロナで仕事がなくなり、現在は徒歩圏内の小売店でパートしてます。自分の気晴らしに、読んだ本、美味しかったものなどについて昭和的なセンスで記事を書いています。東京在住。既婚/子なし。

お問い合わせ先:siinanoraneko@gmail.com