(※ネタバレありです)
名古屋へ、人生初の一人旅
今年の2月に人生初の一人旅に出かけた。
行き先は、遠すぎず近すぎず東京から1泊2日で行きやすそうだったので、名古屋にした。
行く前に友人・知人から名古屋について情報収集したり、ガイドブックや名古屋に関する本を読んだりした。
『名古屋駅西 喫茶ユトリロ』は、そのときに読んだ本の1冊だった。
名古屋駅西で喫茶店を営む祖父母の家に、名古屋大学医学部に入学が決まった東京の孫が居候することになった。
というのが話の始まりで、喫茶店が舞台ということもあり、名古屋めしをテーマにストーリーが進んでいく。
なにしろ主人公の鏡味龍(かがみとおる)は東京育ちで名古屋めしのもぐりである。
家族や大学の友人・先輩、喫茶店の常連客が龍に名古屋めしのあれこれを親切に教えてくれる。
でもこの小説は名古屋めしを食べ歩くだけじゃなくて、1話ごとに名古屋めしに関するミステリーが提示されるのだ。
その謎解きが読みどころ。
第1話のタイトルは「手羽先唐揚げと奇妙なイタズラ」。
喫茶ユトリロの常連さんの家の前に名古屋名物・手羽先唐揚げの骨が何度も捨てられるという事件が発生。
龍は、常連さんから事件について相談されるも名案が浮かばず…
その日の午後、大学の友人・平井駿(ひらいしゅん)とその先輩の明壁舞衣(あすかべまい)に連れられて、手羽先唐揚げを食べに行った。
名古屋めしに詳しい明壁先輩はエスカ地下街の「鳥開」で「若鶏の手羽先」を龍にすすめた。
それを食べながら龍は手羽先の事件のことを2人に話した。
ここで謎解きはできないので、『喫茶ユトリロ』の登場人物たちを紹介する。
『喫茶ユトリロ』の登場人物
・鏡味龍
東京生まれ、東京育ちの18歳。
小さい頃に母親を亡くし男手ひとつで育てられた。
現在名古屋大学医学部の1年生で、名古屋の祖父母の家に居候させてもらっている。
性格は素直でクセのない良い子。
父親が再婚してから親子の関係は少しぎくしゃくしている。
・鏡味正直(まさなお)・敦子(あつこ)夫妻
72歳と70歳。龍の祖父母。敦子の父が始めた喫茶ユトリロを引き継いで経営している。
正直がキッチン、敦子がホールで主に働く。
正直は無口、敦子はおしゃべり上手。
東京で働く龍の父親・昭光(あきみつ)の他に宣隆(のぶたか)という次男がおり、同居している。
また敦子の母・千代(93歳)も一緒に暮らしている。
・鏡味宣隆
龍の叔父。40歳。独身。
ゲームシナリオライターらしい。
他にもヒップホップグループのプロデューサーなどいろいろやっている自由人。
・平井駿
大学でできた龍の新しい友人。
龍に数理学科の明壁先輩を紹介してくれる。
ときどき3人で名古屋めしを食べにいく。
・明壁舞衣
駿とは子供の頃から付き合いがある、ご近所さん同士。
背が高く、顔は端正、髪の毛は黒くて長い。女優かモデルみたいなビジュアル。
しゃべり方はハッキリサバサバ論理的。
強度のドラキチ。
龍が持ち込む謎をあっという間に解いてしまう高度な知性の持ち主。
『喫茶ユトリロ』の登場人物の中ではいちばん目立つキャラクター。
龍の憧れの人。
・紳士さん
60代半ばのスマートな男性でユトリロの常連客。
ホットコーヒーと玉子サンド(モーニングなし)をいつも注文する。
中2階の奥の席に座って、店名にもなったユトリロの風景画を見ている。
・岡田栄一・美和子夫妻
ユトリロの常連客。
1階の奥の席に座る。
栄一はアイスコーヒー、美和子はストレートティーを注文する(どちらもモーニングサービスでトーストとゆで玉子付き)。
栄一は67歳。
精肉店経営を退き、悠々自適の生活。
栄一はあまりしゃべらない。
美和子はとてもおしゃべりだ。
・榊原清治(さかきばらせいじ)
ユトリロの常連客。53歳。
コーヒー・トースト・ゆで玉子のモーニングサービスを注文。
ユトリロで朝刊を読む。
1階の奥の席に座る(岡田夫妻の隣)。
洋品店を営んでいたが10年前に店を閉めて、現在は警備員の仕事をしている。
・竹内匠(たくみ)
ユトリロの常連客。47歳。
1階の入り口付近に座る。
大工で、建築会社の社長。
毎朝コーヒーのモーニングサービスを食べながら、店内に置いてある雑誌をひととおり読む。
・水野昇吉(しょうきち)
ユトリロの常連客。72歳。
元靴職人。8年前に引退し、現在は年金生活。
5年前に妻を亡くし、独り暮らしをしている。
朝昼夕とユトリロに顔を出し、テレビがよく見える中2階の階段付近の席でニュースなどの番組を見ている。
・本間一真(かずま)
ユトリロの常連客。29歳独身。
新潟出身。
製薬会社勤務。
名古屋支店に転勤してユトリロの近所に住んでいる。
中2階の席でモーニングサービスを食べながらスマホをチェックするのが日課。
『名古屋駅西 喫茶ユトリロ』の内容
ユトリロ・シリーズ第1巻『名古屋駅西 喫茶ユトリロ』に収録された全5話のタイトル
- 手羽先唐揚げと奇妙なイタズラ
- カレーうどんとおかしなアフロ
- 海老フライ(えびふりゃー)と弱気な泥棒
- 寿がきやラーメンと家族の思い出
- 鬼まんじゅうと縁結びの神
- 味噌おでんとユトリロが似合う店
『名古屋駅西 喫茶ユトリロ』のAmazon商品ページ(Kindle版)
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『名古屋駅西 喫茶ユトリロ 龍くんは引っ張りだこ』(第4巻)
『名古屋駅西 喫茶ユトリロ』シリーズは全4巻、刊行されている。
全巻を2度ずつ読んだ。
最近4巻目の『名古屋駅西 喫茶ユトリロ 龍くんは引っ張りだこ』を読み終えて、4巻の最後に出てくる矢場とんに行った。
名古屋旅行に行ったときも矢場とんの店はあったが、行列していたし、帰りの高速バスに乗る前で時間に余裕がなかったのでスルーした。
というか、味噌かつの美味しさというものを理解していなかったので、行列に並んでまで味噌かつを食べる人たちの気持ちが理解できなかった。
さて、名古屋旅から約9か月後の11月12日に、矢場とん東京駅グランスタ八重洲店に行った。
『龍くんは引っ張りだこ』で、龍が食べたメニューと同じものをあえて注文した。
・わらじとんかつ定食 税込1970円
・生ビール(グラス) 税込500円
わらじとんかつ定食はソースかつと味噌かつの2種類の味を食べ比べできる秀逸なメニューだ。
私は今までソースかつと味噌かつを別々に味わったことはあったが、両者を食べ比べる機会はなかった。
矢場とんでは、カウンターにからし、すりごま、一味が置いてある。
ソースかつにからしを添えて食べ、味噌かつにすりごま、一味をかけて食べた。
これまでは、全国的な普及度からソースかつの方がけっきょくは美味しいのだろうと思い込んでいた。
が、矢場とんの味噌かつは、ソースかつとまったく同じレベルで美味しかった。
ただし、矢場とんのソースかつのソースは一般的なとんかつソースよりもさらっとして味が薄めだし、味噌かつの味噌だれでさえ同様にさらっとして薄味なので、濃いめのソースをたっぷりかけた一般的なとんかつが好きな人は、やはり名古屋産以外のソースとんかつの方が好きなのかもしれない。
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