次男の夫は、物心ついたときから、長男である兄の真似をして生きてきた。
「三つ子の魂百まで」という。
幼少のときに頭にすり込まれた体験パターンが、成長してもずっとあとを引くことはある(自分もそうだ。失敗パターンだけど)。
結婚して一緒に暮らしていると、夫は私の真似をする。
無意識に人がやってることをひそかに観察して真似をするのが夫のクセみたいだ。
私は長女で、性格的に母親と相性が悪く、「こんな人間になりたくない」と思いながら成長した。
周りに真似をしたくなるような人間がいなかったし、もともと人マネはあまり好きではない。
だから、真似をすることで子供の頃からうまく立ちまわって成功してきた夫とは真逆のタイプかもしれない。
ささいな生活に関することだが、私独自のやり方や工夫を夫に真似されるととてもムカつく。
真似をするというのは人間の本能らしいが、なんでもかんでも真似をするのは芸がないと思う。
夫が私の真似をすると、ちょっと前までは「真似するな!」とよく怒っていた。
でも最近、夫は小さい頃からの次男的な行動パターンを今も無意識に続けているだけなのだと気づいて、そのクセは本能的なものなのでもう直らないだろうとあきらめた。
先日、台所の常備品入れ(パスタやインスタントラーメンを入れている)の整理をしていたときに、いつどこからやってきたのかわからない味噌ラーメンスープ(小袋)を見つけた。
たまたま翌日、韓国人から教わった味噌チゲをつくる計画があり、たまたま味噌を切らしていたので「この味噌スープを味噌チゲに使おう!」とひらめいた。
食事のとき私がすわっている場所の右手の棚にコーヒーメーカーが置いてある。その脇に味噌スープを置いた。
常備品入れにいれておくと万が一夫に使われる可能性があるし、棚はガス台に近いので翌日調理するときにすぐ使える。
翌日は土曜日だった。夫は休みで家にいた。私は仕事に行って、帰りに味噌チゲの材料を買ってきて調理をはじめた(私は味噌チゲ等の担当、夫は別の料理担当)。
小鍋で鶏肉、玉ネギ、ジャガイモなどの材料を煮て味噌を溶こうとして例の場所を見ると、置いたはずの味噌スープがない。
不思議に思ってよく探したが、そもそも探すほどのスペースもない。
夫に「味噌スープがなくなった」と言うと、「味噌ラーメンにしておいしく食べたよーん」と言う。
夫はちょうどコーヒーメーカーの向かい側にすわっていたので、私が味噌スープをそこに置くのを観察していて、なぜかそれを取って使ってしまったようなのだ。
なぜ私が使おうとする同じタイミングでスープを使ってしまうのか?
今までたぶん何か月も常備品入れにあったのになぜ今日なのか???
普段から夫は行動をかぶせてきがちなのだ(私が歯みがきしていると同時に歯みがきをはじめるとか)。
真似をするのが大好きなのだ。
怒っても仕方ないので、冷蔵庫をさぐって代用品を見つけて味噌チゲを完成した。
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