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ネガティブ・ケイパビリティ-答えの出ない事態に耐える力/帚木蓬生

ネガティブケイパビリティ

ネガティブケイパビリティ

ネガティブ・ケイパビリティ

生きているといろんな問題が発生する。

自分に関するトラブルなら自分でなんとか事態に対処できるからいい。

しかし実際に起きるトラブルのほとんどが自分以外の他人に関わるものだ。

自分にとってのトラブルが、別の当事者にとってはトラブルではないことは多い。

そうすると事態はもうお手上げとなってくる。

通常、物事に向かうとき、人はポジティブ・ケイパビリティ(積極的な能力=積極性)を発揮しようとする。

それは一般社会でとても良い事とされている。

だが、ポジティブ・ケイパビリティが行き詰まったときに、それ以上先に進めなくなってしまう。

その場合におすすめなのが、ネガティブ・ケイパビリティ(消極的な能力=消極性)だ。

にっちもさっちもいかない困った事態をそのまま静観しつつ受け入れる能力。

事態はずっと動かないままかもしれないし、なにか取り巻く状況が変わって良い方向に進むかもしれない。

そのイライラするような状態をあえて受け入れる。

そんな対処法が『ネガティブ・ケイパビリティ-答えの出ない事態に耐える力』に書かれている。

あえてなにもしないことを推奨する人はめったにいないので、これまでいろいろ試みて壁にぶつかって悩んでいる人がいたら、この本を読んで発想の転換をしたらいいかもしれない。

「日薬」「目薬」

「日薬」

ネガティブ・ケイパビリティの他に役立つと思ったのは、「日薬」「目薬」という考え方だ。

日薬は、日にち(時)が問題を解決してくれるという発想だ。

著者の帚木氏は精神科医なので、病気というのは時間の経過とともに快方に向かっていくということをいっている(自然治癒力)。

私自身も初めて心療内科を受診したときに、「病気も老いる」という言葉を院長から聞き、新鮮な思いがした。

自然治癒力、自己治癒力とは別に、人間が老化することで病気に対する感性が、他に対する感性同様に鈍ってくるというのだ。

確かにそうかもしれない。

だから日ごとに病気に対する自覚症状や感度は和らいでいくのかもしれない。

実際、今、私は心療内科に通うのを自然にやめてしまったし、タンドスピロンという精神安定剤を飲むのもやめてしまった。

心療内科には2021年3月から2022 年3月まで通い、2022年4月に心臓弁膜症の手術を受けたので、心療内科どころではなくなったという事情もあった。

「目薬」

目薬は、誰かに見守られることで、当事者は、辛い事態にギリギリ耐えることができるという発想だ。

ただ独りで困難に立ち向かっていると絶望的な気持ちになるし、すべてを投げ出してしまったほうが楽だという結論に飛びつきやすい。

でも精神科の医者と患者の関係であれば、定期的に病院に通って薬を処方してもらい、医者に悩みや苦しい気持ちを打ち明けて聞いてもらったり、「大変ですね」と同情を示される。

そうすると患者は少し苦しみが報われるというか、また明日から次回の受診日までなんとか現状を維持していける力を得るのだという。

この医者(帚木氏)が発揮しているのはネガティブ・ケイパビリティでもあり、一見話を聞いているだけでなにもしていないようでいながら、実は患者のどうにもならない現状を受け入れることによって、力(目薬)を与えている。

私は『ネガティブ・ケイパビリティ』を読んで「目薬」の能力を理解して、「これは今すぐ使える!」と思った。

夫の会社がブラックで、今日も彼は朝8時から深夜まで働いている(23:20に帰宅した。通勤時間は20分程度)。

このスケジュールは毎日ではなく、締め切り直前がこんなふうにとてもきつい。

でも夫はその仕事自体を愛して(?)おり、誇りもいだいている。

だから「辞めればいいのに」というのは解決策にならない。

見ているほうも辛いのだが、私が見ていること(目薬)で夫がギリギリ耐えしのげているのなら、今はそうやって乗り切るしかないのかもしれない。

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