『愛と法』
映画『愛と法』を見に、渋谷のユーロスペースに行った。
上映前にチラシを見ていると、『愛と法』の主人公の一人、南和行が『同性婚』という、この映画の内容とかぶる本を出版していることがわかった。
同性婚に興味があるので、読んでみたいと思った。
『同性婚 私たち弁護士夫夫(ふうふ)です』の内容
『愛と法』の映画とかぶる部分はあるが、やはり違うと思った。
映画のほうがLGBTへの入門編で、『同性婚』のほうが実践編だと思う。
残念ながら、私はLGBTにあたらないので、『愛と法』のほうが馴染みやすかった。
実際に、LGBTを生きている人のために、『同性婚』は書かれている。
二人の人生に危機が訪れたとき(老い/病気)、そのときにこの本を読むのでは遅すぎる。
どちらかが危機的な状況におちいったとき、同性カップルの前には法の高い壁が立ちふさがり、双方の家族や関係者によって、二人は永遠に引き裂かれる可能性がある。
その瞬間を危惧して、二人が離ればなれにならないように、前もって十分な手段(公証人役場で公証人のもとで「任意後見契約」を作成すること)を講じるために、この本は書かれた。
異性カップルなら努力しなくても実現する生涯が、同性カップルにはやすやすとは実現できない。
今の現状ではそれが現実で、その窮屈な世界の範囲内で可能なかぎり自分たちの求める幸せを実現するための必要最小限の手段が、『同性婚』に記されている。
ロマンチックな要素は一片もなく、法律的な手続きの数々が連ねてある。
著者は大変めずらしいLGBTの弁護士なのだ。
LGBTの弁護士でなければ、誰がこんな親切な本を書いてくれるだろうか?
南和行氏は、現実にこの日本で同性婚を実現した勇気ある人間なのだ。
同性婚なんて、気にならない人にはなんでもない。
なんで正式にできないのか理解できない事柄である。
早く『同性婚』に書かれていることが時代遅れになって、この本が絶版になる時代が来てほしい。