記憶がなくなるその時までー認知症になった私の観察ノート/ゲルダ・サンダース
投稿日:
ゲルダ・サンダースは1949年に南アフリカで生まれた。
1984年に、夫のピーターと2人の子どもと一緒にアメリカのソルトレイクシティに移住した。
2010年9月21日、61歳になる直前に「脳微小循環障害」と診断された。
これは「認知症になっている(Dementing)」ということだった。
そして、ゲルダ・サンダースが書いた「認知症観察ノート」は、2011年2月5日に始まっている。
当時勤めていたユタ大学ジェンダー研究所を退職した時にもらった記念品の手帳に「今後の脳の衰退」について書くことにしたのだ。
ゲルダは、2002年から退職する2年前(2009年)まではユタ大学で学生に向けて授業をおこなっていた。
しかし、すでに記憶の混乱がおこっていて、仕事に支障をきたすようになっていた。
本書『記憶がなくなるその時まで』には、①「認知症観察ノート」の記録をそのまま転載した部分と、②あらためて自分の人生をふり返って南アフリカでの子ども時代からの思い出を綴った部分と、③現在の出来事を記録した部分が入れ替わり収められている。
3つのどのテーマも興味深くて面白い。
現在もゲルダはMY LIFE WITH DEMENTIAというウェブサイトを運営している。
その中の直近のブログ記事は2024年6月18日のもので、元気そうなゲルダとピーターの写真も掲載されている。
今頃ゲルダは76歳になったところだろうか?
ブログの記事は長く、内容も充実している。
記憶力・認識力に問題がある人が書いたとはとても思えないし、『記憶がなくなるその時まで』がアメリカで出版された2017年時点の文章と何も変わりなく思える。
ゲルダの存在自体が、若年性認知症患者の大きな希望の星に見える。
執筆者:椎名のらねこ
関連記事
-
記憶とつなぐ 若年性認知症と向き合う私たちのこと/下坂厚・下坂佳子
(※ネタバレありです) 家族が若年性認知症かも?と疑ったときに映画の『明日の記憶』を見たら絶望のどん底に突き落とされるだろう。 一方で、若年性認知症の当事者夫婦が書いた『記憶とつなぐ』を先に読んだ人は …
- PREV
- マイ名古屋ブームは続く
- NEXT
- 欧米に寝たきり老人はいない/宮本顕二・宮本礼子