若年性認知症をうたがう
投稿日:2024年10月12日 更新日:
夫の若年性認知症をうたがう
同学年の夫は現在53歳だ(私は早生まれで52歳)。
もともと記憶力が良い人なのに、最近とても忘れっぽくなった。
『老化のせい?』と考えると、『まぁ、しかたない』と思えるが、ある日『もしかして若年性認知症?』と思いついた。
離れて暮らす夫の両親は、父親が93歳、母親が88歳だ。
母親のほうは「認知症の家系」だと夫はいう。
そして姑はすでに88歳なので、だいぶ頭がふわふわしており、『いずれ認知症になるのかな』と私は覚悟している。
それと同時に、図書館で認知症にかんする本を何冊も借りてきて読んでいる。
前もって何が起こるかわかっていれば、何も知らないよりもショックや動揺が少なく、うまく対処できると思うからだ。
アマゾンプライムで認知症にかんする映画も見た。
渡辺謙と樋口可南子が主演する『明日の記憶』という映画だ。
49歳のやり手の広告マンが若年性認知症にかかり、夫婦ともども大変な日々を過ごす。
映画の最後では、病気がすすんだ結果、夫は車椅子にすわってぼーっとしたままもうしゃべることもない。
衝撃的な映画だった。
今回、夫の若年性認知症をうたがうと、『明日の記憶』の情景が自分事として一気にせまってきた。
とはいえ、危機感から数日たつと、夫はそれほどボケてもなく、若年性認知症ではないとも思えてくる。
とにかく一瞬危機感をいだいた私は、今度は「若年性認知症」にかんする本を図書館で検索して10冊ほど借りてきた。
高齢者がかかる認知症と、50代の人がかかる若年性認知症とはまったく危機感が異なると感じた。
自分事として、義母が認知症になったとしても、私はパートをやめて義母のもとに行き、いろんな介護サービスを利用しながら世話をし、可能なら自宅で義母を看取るのだろうと想像している。
しかし夫が若年性認知症になったとしたら、「若年性」のほうが病気の進行がはやいそうだし、夫が大好きな仕事はどうなるのか? 私たちの夫婦2人の平和な日常生活はどうなってしまうのか? マンションの2階に住んでいるが歩けなくなったらどうするのか? 田舎の両親と一緒に暮らして私がW介護をするのか? 最終的には何もわからなく、できなくなってしまう夫とどう付き合っていけばいいのか?と、考えると愕然とするばかりだ。
「若年性認知症」関係の当事者が書いた本を読むと、早期発見・早期治療が若年性認知症の場合にはとくに重要で、自治体の若年性認知症支援コーディネーターに相談すること、若年性認知症の当事者の会などにも参加できれば大きな救いになることがわかった。
しかし友だちが1人もなく、多少コミュ症気味の夫が若年性認知症になったとたん他者に救いを求めるのかどうかは疑問だ。
とはいえ私はかなり先走っており、やっぱりぜんぜん違うのかもしれない。
『若年性認知症を笑顔で生きる 笑顔で寄り添う』
2001年に52歳で「若年性アルツハイマー型痴呆症」の可能性を指摘された夫をその後18年間ケアした妻(当初45歳)が書いた本を読んだ。
妻の松本恭子さんにとって夫の照道さんが若年性認知症だと診断されたのはまさに寝耳に水で、それまで何も気づいてなかったそうだ。
若年性認知症にかんする知識も皆無だった。
照道さんは通信系大手の技術者、恭子さんは中学教師をしており、子供がなかったので、夫婦は仕事中心の忙しい生活をしていた。
若年性認知症は家族よりも先に、職場の人たちが異変に気づくことが多いという。
ミスが増えたり、約束を忘れたりして仕事に支障が出てくるからだ。
照道さんは若年性認知症を診断した医者との相性が悪く、その後は病院に行かなかったし、仕事もやめてしまったので、夫婦2人の介護生活がそれから2年間続いた。
この2年間の空白期間を、恭子さんは深く後悔している。
それで早期発見・早期治療について必須と、当事者の立場から強く主張している。
この本を読むと、夫が若年性認知症になったあと夫婦2人の生活がどんなふうになるかがちょっとわかる。
執筆者:椎名のらねこ
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