『一発屋芸人列伝』by山田ルイ53世
投稿日:
※ネタバレありです
◎感想
著者の山田ルイ53世が同業者の芸人にいっさいおもねって(気に入られようとして)いないのがいい。
文中に細かく挿入される著者のツッコミが面白い。
的確な比喩・タトエに感心する。
どこかのインタビューで著者が自負していたが、本当に文章がうまい。
最終章「髭男爵 落ちこぼれのルネッサンス」で紹介される誕生秘話やオチも意外性があって面白い。
「おわりに」で、山田氏は本書に登場してくれた一発屋芸人たちにエールを送った。
しみじみとなんだか泣きたい気持ちになった。
登場人物全員のネタを見たくなった。
誰一人好きな芸人はいないのに、読後は一人一人が愛おしく、この世のかけがえのない宝のように錯覚してしまったのはなぜだろう・・・?
◎一言コメント
・レイザーラモンHGが綺麗なのは意外。夫婦の組み合わせが面白い。
・コウメ太夫の唯一無二の奇怪さはすごい。エピソードもホンモノ。
・テツトモの本質をよく見破れたな~。違和感の説明が的確・説得力大。
・ジョイマンの「ここのいるよ!」エピソードはいちばん好きかも。
・ムーディVS天津木村の一発屋対決は生々しくて読むのが辛かった。
・波田陽区がここまでダメっ子だったとは知りたくなかった・・・。
・「ハローケイスケという芸人を知」らない・・・。
・とにかく明るい安村のネタをいちばん見たくなった。その閃きは天才!
・キンタロー。の性格の暗さ・面倒臭さは、自分もそうなのでよくわかる。
・髭男爵のコンビ間の不和感がとてもおかしい。全然仲良くない。
◎目次
はじめに
レイザーラモンHG 一発屋を変えた男
コウメ太夫 “出来ない”から面白い
テツ and トモ この違和感なんでだろう
ジョイマン 「ここにいるよ」
ムーディ勝山と天津・木村 バスジャック事件
波田陽区 一発屋故郷に帰る
ハローケイスケ 不遇の“0.5”発屋
とにかく明るい安村 裸の再スタート
キンタロー。 女一発屋
髭男爵 落ちこぼれのルネッサンス
おわりに
執筆者:椎名のらねこ
関連記事
-
『街道をゆく』を読むと旅したくなる 学生の頃から欧米の文化に対するあこがれが強かった。 自分とまったく違うものに惹きつけられた。 だから一見日本と同質におもえる中国は今までほとんど視野に入らなかった。 …
-
(※ネタバレありです) 物語の舞台 前知識なしに読み始めた。 物語の舞台になるのは・・・・鎌倉扇ガ谷(おうぎがやつ)の自宅・葉山の一色海岸沿いにある月川クリニック(職場)・渋谷の「アンジー」という名の …
-
サイモン・ウィンチェスター著『博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話』(ハヤカワノンフィクション文庫) (※ネタバレありです) オックスフォード英英辞典をめぐるスリリングな裏話 英語に関心のある人 …
-
『フロスト始末(上・下)』は、人気シリーズ第6作目の最終作だ。 本作完成後、作者のウィングフィールドは79歳でこの世を去った。 『フロスト始末』の内容は70代の人が書いたとは思えないほどシッチャカメッ …
- PREV
- 大企業で働くのは大変
- NEXT
- 『重版出来』by松田奈緒子