なんとか自分を元気にする方法

コロナで生活が楽になったような、苦しくなったような

お客さん 試食販売 生活

母に似たお客さん

投稿日:2019年3月21日 更新日:

地方びいき

都内の某スーパーで試食販売をしていた。

ある70歳くらいの女性のお客さんが商品を試食して気にいって買ってくれた。

商品のメーカーについて聞かれて答えたりした。
埼玉に本社があるメーカーだったのでその旨伝えると、「埼玉から販売に来てるんですか?」と聞かれた。
「いえ、東京からです」と言うと、「たまに地方から販売に来られている方がいらっしゃいますよね。私、地方出身なので、地方のものが気になるんです」という。

私自身、地方出身なのでその気持ちはよくわかる。
「地方びいき」と言ってもいいかもしれない。
チャンスがあれば地方(いなか)について誰かとおしゃべりしたくなるのだ。

なので、「私も地方出身で、広島です」というと、お客さんは「私は兵庫出身なんだけど、主人が広島なので、野球やサッカーなど広島のチームを応援してるんです」と言う。

耳寄りな話

広島つながりのお客さんに都内のスーパーで会うことは珍しい。

お客さんもこの偶然にとても喜んでくれて、特別に耳寄りな話を教えてあげようと言う。

何だろう?と期待して耳を傾けると、「今日○○先生の話を聞いてきたんたけど、人生でいい流れを引き寄せるには、良く生きているだけじゃなく、プラスアルファの積み重ねが必要なんですって。たとえば、家族に感謝するとか、日々の生活で意識して積み重ねていくと、幸運にめぐりあえるんですって。あなたは明るいので大丈夫だと思うけど・・」と、彼女はいきなり私の苦手な宗教系の話に突入し、夢中になって一方的にしゃべって、立ち去った。

「家族に感謝」というくだりには耳が痛い。
なぜなら私は#MeToo運動以来の女性解放の流れにバッチリ影響されて、この頃とても夫に反抗的になっているからだ。今までの「女は結婚して子供を産み、育て、余裕があればパートに出て家計を助け、家では忍耐強くおとなしく家事をこなし夫を支える妻」像をぶち壊そうとしているからだ(子供を産まないことですでに半分はぶっ壊している)。

同時に、結婚生活が20年を超え、我慢のダムが決壊してしまった。ダムを再建するつもりはないので、もうこれ以上昔ながらの正しい妻役は演じられない。

昔ながらの正しい妻

この「昔ながらの正しい妻」像は、実家の母の生きざまそのもので、彼女が娘3人にも継承したいと願ったものだった。

私以外の妹2人は地元で母と同じ専業主婦路線を走っているようだが、もともと母親と性格の相性が悪い私は子供の頃から母の考えに反発するばかりで、結局母子関係にトラウマを抱き、結婚して周りから強い圧力を受けても子供は産まなかった。

実家の母が「昔ながらの正しい妻」役を押しつけようとするとき大いに利用したのが新興宗教の「教え」だったー「妻は夫を立てて内助の功に徹するべし」。お客さんのしゃべる姿はとても母に似ていた。

お客さんの姿を借りて、今や音信不通になった母から私に、#MeToo的な生意気な態度を自省するよう貴重なメッセージが届けられたのかと、一瞬殊勝に反省しかけたが、それはやっぱり違うと考えなおした。

昔から宗教じみた母親の考えは間違ってると思い、そこから苦労してようやく脱出したのに、そこに引き戻そうとするたぶん潜在的な社会全体の圧力の一端がお客さんを媒体にしてあらわれたのではないだろうか?

実家の母親が父親よりも娘たちを保守的で伝統的な価値観に縛りつけようとしたように、これまで正しい妻/母として生きてきた一部の女性も#MeToo運動にひそかに危機感をおぼえているのかもしれない。

やはり都会よりも地方の方が伝統的な価値感を万人に押しつけようとする圧力が強いと感じる。
だから新しい生き方を志向する人はチャンスを見つけて少しでも都会に移住しようとするし、自分の両親と同じように生きたいと思う人は地方にとどまるだろう(私の妹は都会での生活を嫌って家族で地元にUターンした)。

昔ながらの生きかたには長い伝統があり「これが正しい」と言われれば拒否しにくい巨大なパワーがある。
それに負けないよう気をつけなければとあらためて思った。

-お客さん, 試食販売, 生活

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

スーパーで神様に救われた

試食販売の事前研修 試食販売はどれも重要なものだが、この週末2日間の試食販売はその中でも特に重要なものだった。 実施3日前にメーカーの本社まで出向き2時間の事前研修を受けたのだ。担当者は研修を受けにき …

夜のランナー

夜、走るのが楽しくて

ダイエットが失敗でも 10日後に健康診断があるので、すこしでも体をしぼろうと思った。 ダイエットの方法としては、 (1)間食しない/甘いものを食べない (2)夕飯のカロリーを抑える(和食中心) (3) …

コロナ後久しぶりに電車に乗った

繁華街に洋服を買いに行く 夫が「いま流行りのワンピースを買いに行こう」というので、4か月ぶりくらいに地下鉄に乗って買い物に出かけた。 夫はなぜか女性用の洋服を見たり選んだりするのが好きで、一人で気に入 …

スーパーの売り場

妖怪について熱く語るお客さん

某スーパーで試食販売をしていた。 ちょっと離れた場所には別の試食販売員がいた。 互いの販売場所が近いので、しかもこのおばさんは明るくてとても性格がいい人だったので、ときどきおしゃべりして仲良くなった。 …

化粧品を安いのに変えた

安いファンデーションを買った コロナ後の生活で仕事が変わって、週5くらいのペースで働いているのにどんどん貧乏になっていく気がする。 時給が安くて勤務時間が前よりも短いせいかもしれない(日数は多い)。 …




 

椎名のらねこ

コロナで仕事がなくなり、現在は徒歩圏内の小売店でパートしてます。自分の気晴らしに、読んだ本、美味しかったものなどについて昭和的なセンスで記事を書いています。東京在住。既婚/子なし。