なんとか自分を元気にする方法

コロナで生活が楽になったような、苦しくなったような

LGBTQ+

オカマだけどOLやってます。完全版/能町みね子

投稿日:2021年6月9日 更新日:

(※ネタバレありです)

男性が女性のふりして会社勤めをするなんて、まるでドラマの設定みたいだ。

実際に3年もOLやっちゃった人が、タモリ倶楽部でもおなじみの能町みね子氏。

正式?には性同一性障害の人で、自身の性自認が判然としない、なんだかモヤモヤしてる人。

自分=女とハッキリしてる人間からすると、その存在が不思議だし、未確認生物みたいな希少価値があって、なんだかうらやましい。

日常生活それ自体がスリリングで、まだ変化の途上にあって、最終形態を模索しつつ自己実現を目指しているみたいな。

性同一性障害の人の性自認は多様で、自分の戸籍上の性別に子供の頃から違和感をいだいている人もいれば、能町さんみたいに大学生になってもあやふやな人もいるらしい。

大学2年生のとき好きな女の子ができて、デートするも性欲がまるで湧かない。

女性が性愛の対象ではなかったのだ。

性別=男だけど、ぜんぜん男らしくない自分にコンプレックスを感じていた男子。自称「オトコのできそこない」。

男子の格好をしていても、ときどき女子に見まちがえられていた能町さん。

彼女ができてベッドインしても、体が反応せず、何もやりたいことはなく、混乱の極みにたっしてしまう。

ベッドインが中途半端に終わって、彼女が帰ったあと、泣いてしまう。

結局その彼女に「自分はホモかも(?)」とカミングアウトして別れた(元彼女とは今でも親友!)。

能町さんは男の象徴であるスーツやネクタイが大嫌い。スーツ姿の自分を誰にも見られたくないという。

会社で男性の格好をしてても、女性と性的な雰囲気になると頭がヘンになる。

とくに女性に男性器を触られることに耐えられず、大声を出して泣いてしまうというエピソードが紹介されていた。

結局、会社はネクタイをするのが嫌で(!?)1年未満でやめてしまう。

その後、東京に出て無職で風呂なしアパートで一人暮らし。銭湯生活。

が、23歳でヒゲが濃くなり、外見が男に見られてしまうようになった。

サプリメント、女性ホルモン、レーザー脱毛などを試す。

女性ホルモンを本格的に始める前に、風呂ありアパートに引っ越す。

胸がふくらんできたのでブラをつけ始める。

モヤモヤしている時期、病院で性同一性障害の診断をしてもらう。

戸籍上の性が男性、かつ『女の人になりたい』と思っている人は「性同一性障害」と診断してもらえるらしい。

何科に向かえばいいかといえば、精神科? 今でいえば心療内科?
(私も最近心療内科に通い始めたので親近感わくなー)

病院でそのようなお墨付きをもらった後、10か月ほどで体以外の高速女性化完了。

バリトンヴォイスからちょっと高めの女声へは自己流トレーニングで変革。

その後、実家の母親に泣きながらカミングアウト。
母親はまずまず受け入れてくれた。

仕事は、サラリーマン(1年未満)→コンビニバイト→(ここから女性として)喫茶店のウェイトレス(1か月間)→事務職のOLバイト(3年間)など。

裁判所で女子名に改名。

専門学校時代、男子から告白される。

男だと伝えると「知ってる」と言われた。

男であり、女であった時代の記録。

OLの副業として、オカマバーの面接を受けるも、時給がOLバイトより安いことがわかり働くのをやめた。

2006年ブログが書籍化(本書)。

2007年タイで性転換手術。

2009年時点には戸籍も女に変更済。

文章やイラストの仕事依頼が増え、現在に至る。

能町さんの人生はありふれたお定まりの人生よりもずっと面白い。

『オカマだけどOLやってます。完全版』のAmazon商品ページ(文庫版)

-LGBTQ+,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

高峰秀子/夫婦の流儀

高峰秀子 夫婦の流儀

(※ネタバレありです) 人気女優の高峰秀子と監督/脚本家の結婚は、今の感覚でいえばちょっと風変わりなものだった。 結婚を打診された時点で、高峰は松山のことを仕事の関係者の1人としてしか見ていなかった。 …

自然を取り戻すためのおすすめ本

1. 『英国貴族、領地を野生に戻す』(イザベラ・トゥリー著) 『Wilding(野生化)』が『英国貴族、領地を野生に戻す』の原題だ。 場所はイギリスの南東部ウェストサセックスにあるクネップという広大な …

『博士と狂人』byサイモン・ウィンチェスター

サイモン・ウィンチェスター著『博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話』(ハヤカワノンフィクション文庫) (※ネタバレありです) オックスフォード英英辞典をめぐるスリリングな裏話 英語に関心のある人 …

血の流れるままに/イアン・ランキン

1. スコットランドが舞台の小説 1995年発表<リーバス警部シリーズ>7作目『血の流れるままに』”LET IT BLEED” リーバス警部シリーズにはまって読み続 …

カルカッタの殺人

カルカッタの殺人/アビール・ムカジー

インドをテーマにした本が読みたくて手にとった。 インドのカルカッタが舞台のミステリーだ。 作者はイギリス生まれのインド人。 『カルカッタの殺人』の主人公は、イギリスからカルカッタに赴任した白人のイギリ …