シュノーケリング中に溺れた
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数年前に沖縄でシュノーケリングを体験した。
現地の業者に申し込んで、若い男性のインストラクターと私と夫で海に入った。
説明されたとおりに自分ではマスクを装着しているつもりなのに、すき間から大量の海水が入ってきて驚いた。
シュノーケリングのマスクの中で海水を飲んで溺れている状態で、まさかシュノーケリング中にそんな状況に陥るとは想像もしなかったので、パニックになって一人でもがいた。
なぜか海底に足もつかないし、ここで死んでもおかしくないと思った。
どうやったのかわからないが(マスクをとったのか?)海水を吐き出して、息ができるようになった。
ちょっと先に進んでいるインストラクターに、「このマスク、海水が入ってくるんですけど」というと、「日焼け止めをつけていると海水が入りやすくなる」というようなことをいって、自分のマスクと交換してくれた。
それからは順調にシュノーケリングできて楽しかったが、ずっとその事件のことが頭に引っかかっている。
『日焼け止めでマスクがすべることがあるのなら、事前にそう伝えてくれれば溺れることはなかったのに・・・』
沖縄の海では日焼け必至だ。
いつもよりもたっぷり日焼け止めを塗りたいくらいだ。
でもそのためにシュノーケリング中に溺れて命を落とす結果になるとわかっていれば、日焼け止めは塗らない。
ただ溺れるまで、そういう事態が起こりうることがわからないから、日焼け止めを塗った。
ガイドブックにも日焼け止めを塗るなとは書いていなかった。
インストラクターが把握しているのなら、念のため事前に注意事項として説明してほしかった。
こちらは観光客でシュノーケリング初体験なのだから。
そうすれば絶対に溺れることはなかった。
それ以降、シュノーケリング中の死亡事故の記事に注意するようになった。
毎年シュノーケリング中に20人前後がなくなっている。
記事を読むたびに『自分もその一人になりかけた』と思う。
人間はシュノーケリング中にあっという間に溺れて死亡できるのだ。
——-
不思議なことだが、シュノーケリングと日焼け止めの相性は悪いのに、シュノーケリングのウェブサイトでは日焼け止めが推奨されている。
紫外線対策としては有効だろうけど、医薬品と同じように、副作用や危険性についても説明すべきだと思う。
シュノーケリング中に日焼け止めが塗れないというと、「日に焼けるのが嫌なのでシュノーケリングはパスしよう」という、観光客の女性の反応をおそれているのだろうか?
それとも毎年の死亡事故数が20件前後というのは、シュノーケリング体験者全体の数からするとわずかにすぎないのだろうか?
たしかに日焼け止めが原因ではなさそうな死亡事故も多いが、死亡に至らなくても、シュノーケリング中に溺れかけてこわい思いをした観光客は私のほかにもたくさんいるのではないだろうか?
ただ、沖縄観光の一環の楽しいシュノーケリング体験中のことで、自分が溺れたことを知っているのは自分しかいない。
普通に楽しくシュノーケリングしている同行者にそんな深刻で暗い話をするような雰囲気ではない。
同行者はのんきに沖縄の海をめいっぱいエンジョイしているのだ。
もやもやしながらも、事故はほとんど「なかったこと」として処理されている。
けど、記憶から消えることはない。
沖縄が好きだからこそ、シュノーケリングVS日焼け止め問題について対策をとってほしいと思う。
執筆者:椎名のらねこ
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