ホンモノの社長令嬢
投稿日:2018年2月24日 更新日:
社長令嬢というのは漫画や新聞の中だけに存在するような感覚でいたが。某スーパーで試食販売中、ついに本物に会った。私はスープをあたためて配っていた。
70代の女性客としゃべっていたら、2人の女の子が生クリームたっぷりのクレープを食べながら近づいてきて「のどがかわいたので飲ませてください」といいました。「どうぞどうぞ」といいながら元のお客さんとしゃべったりしつつ女の子とも同時にしゃべりつつ…、ていうかそのクレープすごく美味しそう!と目が離せなくなりつつ……背が低い方の女の子(以後A子、もう1人はB子と呼ぶ)はすごく態度やおしゃべりが積極的です。おばさん客としゃべっているのに話しかけてくるのでおばさんはいつのまにか立ち去りました。その後、気になっていたクレープの値段をきくとA子のは800円でB子のは400円という。800円は高すぎると思ったので「それ昼ごはん?」ときくと「ちがう」といった。
A子はスープを気に入ってくれたみたいで何杯もおかわりした。熱くて飲むのに時間がかかるので商品についてしゃべったりしていた。だが、他のお客さんが「高い」という商品を小学校6年生の子が「安い」というのでなにか金銭感覚がふつうじゃないと思ってB子に「この子、お金持ちの子じゃない?」と冗談っぽく確認すると、A子が、父親はC社の社長なのだと告白した(母親はCAをしてるそう)。また、B子はA子の姉だということもわかった。この会社の売れ筋商品は、大きな駅の構内やにぎやかな街を歩いていたら必ず誰か身に付けているのを目にするほどポピュラーな商品だ。私も一度恵比寿駅東口の雑貨店で買おうかとまよって背負ってみたことがある。値段が安くて便利そうな大人気アイテムなのだ。前から「コレ売れてんな~」と思っていた。
ソレの子がこの姉妹というのだから「へーーっ!」て感心したり驚いたりしてたら、カミングアウトしたA子はさらにおしゃべりになった。自分が通う予定の名門中学(偏差値70)・エレベータ式に進む名門高校・その後に行く世界ナンバーワンの大学のこと、両親は仕事で家を空けていることが多くメイドが姉妹の世話をしていること、5つも6つもやってる習い事のこと、友だちのこと、将来の夢、朝からステーキを食べること、気が向いたら2人で料理をすること、家に大きなプールがあること、アメリカの大学に通っている兄のこと、両親とはSkype?とかで話せるので寂しくないこと……。
「でも、その大学行くかはまだ分からないよね?(まだ先のことだし、受験しても不合格になるかもしれないし)」と確認すると、両親ともに同大学の卒業生で、娘にも世界ナンバーワン大学に行くべしと、今からいいきかせているらしい。父親は紅白にも出場したアイドルグループと知り合いで、明日来日した彼女たちと父親に姉妹は会うという。父親とは1か月ぶりだとか…。
東京には地方では見たことないような不思議な人たちがいっぱい生息していて面白い。こんな瞬間があると「東京でマネキンやっててよかったな~」とハッピーな気持ちになる。
執筆者:椎名のらねこ
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