忘れられないお客さん
投稿日:2018年2月14日 更新日:
どん兵衛好きの男性客
数年前ですが、試食販売をしていて印象的なできごとがありました。
某スーパーで豆腐を販売していました。試食メニューは湯豆腐です。
30代の男性が買い物をしていました。昼間のスーパーで若い男性客は珍しいので自然に目にはいりました。
私がいちばん気になったのは買い物カゴの中身でした。どん兵衛のうどんとそばがぎっしり詰まっていました。他はなにも入っていません。
仕事柄なのか性格なのか他人の食生活がすこし気になります。『私もカップ麺好きだけどもうちょっと他のものも食べてほしいな~』と、心のなかでつぶやきました。
お客さんというのは同じ場所をなんども通過します。その男性がまた近くにきたときに小さなカップに入れた試食用の湯豆腐をすすめてみました。
ことわられるかと思ったけど受けとって食べてくれて「おいしい!」といってくれました。
とてもうれしかったです。
どん兵衛をカゴから取りだして・・・
それから彼は湯豆腐の材料を聞いて、わざわざどん兵衛をすべてもとの売り場に戻しにいって、カゴに湯豆腐の材料一式をそろえて立ち去りました。
彼はうまく湯豆腐をつくれただろうか?
おいしく食べてその後もリピートしてくれただろうか?
と、今でもときどき気になります。
(注1)試食販売員の多くはいろいろなメーカーのさまざまな商品をそのつど販売します。たまに特定メーカー専門の販売員もいます。この仕事をする前はたとえば味の素のクックドゥなら味の素の社員がつくって売っているのだろうとなんとなく思っていました。ほかにも住宅展示場のチラシを配っている人とか、クレジットカードの入会手続きをする人とかもぜんぶ社員だと思っていましたが実際はほとんどが派遣の人なのですよね。自分がいろいろやってみてわかりました。
(注2)このときの湯豆腐の材料ははっきりおぼえていないのですが、豆腐、長ねぎ、しめじ、顆粒の昆布だし、ぽん酢はたしかで、たぶんあと鶏肉も使用していたのではないかと思います。とくに若い人は肉を入れるのがおすすめです。鶏むね肉でも切り落としの豚肉でもおいしいはず。湯豆腐に飽きたら、最近は市販の鍋スープの品ぞろえがとても充実しているので、好みのものをえらんで湯豆腐の水のかわりに使用すれば無限のバリエーションが楽しめます。どのスープもおいしいです。1鍋分が税込300円くらいです。スープがあまったら残りご飯・うどん・中華麺(プラス冷蔵庫にある野菜・卵など)をいれて食べると翌日も無駄なく食べられます。市販のスープを利用するときは昆布だしはいれなくても大丈夫です。
執筆者:椎名のらねこ
関連記事
-
-
◎肉が苦手な子供 某スーパーでスペアリブの試食販売をしていた。 お母さんと4歳くらいの男の子がやってきた。 大半の子供は肉が大好きなので、いちばん大きく切った肉の塊を小皿にのせてつまようじを刺して手わ …
-
-
誰にでもタメ口で話しかける女の子 大学4年生のとき本屋でアルバイトをしていた。 その店のバイトに、どんな年配の社員にでもタメ口で話しかける2歳下の女の子がいた。 「敬語をつかわない変わった人だな」と、 …
-
-
◎ウインナーが売れなくなった マネキン(試食販売)の仕事を始めて5年が経過した。 仕事に慣れてストレスが減ったように思っていたが、風向きが変わった。 いちばん売るのが簡単なウインナーがとつぜん売れなく …
-
-
花粉症に紅茶!? 某スーパーで試食販売していたとき、お客さんが昔々、花粉症で苦しんだ話をしてくれた。 お客さんが飲んでいる紅茶の話がきっかけだった。 お客さんは紅茶の茶葉を買って、湯をそそいで紅茶をい …
- PREV
- マネキンが楽しい件
- NEXT
- 『路上のX』 by桐野夏生