なんとか自分を元気にする方法

コロナで生活が楽になったような、苦しくなったような

心の病 健康

ネガティブ・ケイパビリティ-答えの出ない事態に耐える力/帚木蓬生

投稿日:2022年8月25日 更新日:

ネガティブ・ケイパビリティ

生きているといろんな問題が発生する。

自分に関するトラブルなら自分でなんとか事態に対処できるからいい。

しかし実際に起きるトラブルのほとんどが自分以外の他人に関わるものだ。

自分にとってのトラブルが、別の当事者にとってはトラブルではないことは多い。

そうすると事態はもうお手上げとなってくる。

通常、物事に向かうとき、人はポジティブ・ケイパビリティ(積極的な能力=積極性)を発揮しようとする。

それは一般社会でとても良い事とされている。

だが、ポジティブ・ケイパビリティが行き詰まったときに、それ以上先に進めなくなってしまう。

その場合におすすめなのが、ネガティブ・ケイパビリティ(消極的な能力=消極性)だ。

にっちもさっちもいかない困った事態をそのまま静観しつつ受け入れる能力。

事態はずっと動かないままかもしれないし、なにか取り巻く状況が変わって良い方向に進むかもしれない。

そのイライラするような状態をあえて受け入れる。

そんな対処法が『ネガティブ・ケイパビリティ-答えの出ない事態に耐える力』に書かれている。

あえてなにもしないことを推奨する人はめったにいないので、これまでいろいろ試みて壁にぶつかって悩んでいる人がいたら、この本を読んで発想の転換をしたらいいかもしれない。

「日薬」「目薬」

「日薬」

ネガティブ・ケイパビリティの他に役立つと思ったのは、「日薬」「目薬」という考え方だ。

日薬は、日にち(時)が問題を解決してくれるという発想だ。

著者の帚木氏は精神科医なので、病気というのは時間の経過とともに快方に向かっていくということをいっている(自然治癒力)。

私自身も初めて心療内科を受診したときに、「病気も老いる」という言葉を院長から聞き、新鮮な思いがした。

自然治癒力、自己治癒力とは別に、人間が老化することで病気に対する感性が、他に対する感性同様に鈍ってくるというのだ。

確かにそうかもしれない。

だから日ごとに病気に対する自覚症状や感度は和らいでいくのかもしれない。

実際、今、私は心療内科に通うのを自然にやめてしまったし、タンドスピロンという精神安定剤を飲むのもやめてしまった。

心療内科には2021年3月から2022 年3月まで通い、2022年4月に心臓弁膜症の手術を受けたので、心療内科どころではなくなったという事情もあった。

「目薬」

目薬は、誰かに見守られることで、当事者は、辛い事態にギリギリ耐えることができるという発想だ。

ただ独りで困難に立ち向かっていると絶望的な気持ちになるし、すべてを投げ出してしまったほうが楽だという結論に飛びつきやすい。

でも精神科の医者と患者の関係であれば、定期的に病院に通って薬を処方してもらい、医者に悩みや苦しい気持ちを打ち明けて聞いてもらったり、「大変ですね」と同情を示される。

そうすると患者は少し苦しみが報われるというか、また明日から次回の受診日までなんとか現状を維持していける力を得るのだという。

この医者(帚木氏)が発揮しているのはネガティブ・ケイパビリティでもあり、一見話を聞いているだけでなにもしていないようでいながら、実は患者のどうにもならない現状を受け入れることによって、力(目薬)を与えている。

私は『ネガティブ・ケイパビリティ』を読んで「目薬」の能力を理解して、「これは今すぐ使える!」と思った。

夫の会社がブラックで、今日も彼は朝8時から深夜まで働いている(23:20に帰宅した。通勤時間は20分程度)。

このスケジュールは毎日ではなく、締め切り直前がこんなふうにとてもきつい。

でも夫はその仕事自体を愛して(?)おり、誇りもいだいている。

だから「辞めればいいのに」というのは解決策にならない。

見ているほうも辛いのだが、私が見ていること(目薬)で夫がギリギリ耐えしのげているのなら、今はそうやって乗り切るしかないのかもしれない。

『ネガティブ・ケイパビリティ – 答えの出ない事態に耐える力』のAmazon商品ページ(Kindle版)

『ネガティブ・ケイパビリティ – 答えの出ない事態に耐える力』のAmazon商品ページ(単行本)

関連記事:心療内科を初受診した(安かった)

関連記事:心臓に雑音が聞こえる(9/29)

-心の病, , 健康

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

ぬかパック

ぬかパックをつくってみた

English 日本語 つくりかた ぬか漬けとぬかパックをつくりたいと思い、ぬかを買った。 インターネットでぬかパックの作り方を調べた。 ぬか大さじ2に対して小麦粉大さじ1.5を合わせ、水を混ぜると書 …

耳の後ろにかたいしこりができた

耳の後ろの変なしこり

耳の後ろにかたいでっぱりを発見した 日曜日の夜に、右耳の後ろに変なしこりを見つけた。 耳と頭と首のちょうど境目のあたりだ。 小さくてぐりぐりしている。 痛みは感じないけど、骨のようにとてもかたくて原因 …

三味線ざんまい

三味線ざんまい/群ようこ

群ようこが三味線を習っていたとは知らなかった。 この三味線のレッスンがとても難しく大変そうだ。三味線は弦がたった3本しかないにもかかわらず。 私は飽きっぽく根気がないので楽器類の習得は最初からあきらめ …

首筋・後頭部が痛い

後頭部の痛みがあちこち移動する 少し前から、これまで経験したことのない頭痛に悩まされている。 頭がズキズキして、頭を上げていられないような、働くのが苦痛なあの頭痛ではない。 最初は後頭部の左下に鈍い痛 …

多様性を生きるムーミンの世界

ムーミン入門 飯能にあるトーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園に行ったのがきっかけでムーミンの本を読みはじめた。 最初に読んだのが『ムーミン谷の仲間たち』で、変な登場人物ばかり出てくるのでとても面食ら …