初傍聴裁判の判決を聞きのがした
投稿日:2018年6月1日 更新日:
まえがき
先日東京地裁に初めて裁判の傍聴に行った話を書いた(裁判傍聴はリアル人間劇)。
新件の刑事事件で容疑は窃盗。
前回は13:30~14:30の1時間の審理を経て、判決は次回への持ち越しになった(10日後)。
判決は同じ法廷で言い渡される
今回判決は10:20に言い渡される。
休日だというのにわざわざ目覚まし時計をセットしていつもより早く起床して電車で東京地裁に向かった。
2度目の傍聴なのでやり方はもう分かっている。
30分前に到着すれば余裕だろうと思った。
1階ホールのモニターで裁判の予定を確認した。
前回と同じ部屋(法廷)で裁判はおこなわれるようだ。そういうものなんだな。
法廷前で開廷を待つ
法廷では一つ前の裁判がおこなわれていてドアの前に「開廷中」のランプが光っている。
審理が終わったらランプが消えるのかと思って部屋の前で待っていたら若い男の人が傍聴人用のドアから入って、数分後に出てきた。
さらに部屋から見たことある検察官が出てきた。
見たことある弁護士も出てきた。
「ん?」
と思って、時間を確認すると10:20を過ぎていた。
「しまった!」と気づいたときには手遅れで、目あての裁判は終了していたのだ。
だって判決言い渡しの予定時間は10:20~10:25。
たった5分間の裁判なのだ。
法廷は「入れ替えなし」ルール
どうも「開廷中」のランプは10:00から12:00までつきっぱなしらしい。
同じ裁判長がイスにすわりっぱなしで複数の裁判に判決を言い渡したり、内容を審理したりするシステムだったのだ。
映画館でいえば「入れ替えなし」みたいな。
映画(裁判)は通しで上映されていて、お客(傍聴人)の方は自由に出入りして入れ替わる仕組み。
それが法廷のシステムだったのだ。
全員が部屋から出たり入ったりする「入れ替えあり」ルールだと思っていた~
裁判の終わりと始まりを示すなんらかのサインが表示されると思っていたのが間違いで、そもそも法廷には裁判執行関係者と先ほど入っていった若い傍聴人以外だれもいなかったのだ。空っぽの法廷なので、映画館のようなまとまった人の出入りは発生しないのだ。
判決を聞きのがしてしまった
せっかくそのために早起きして電車にのって裁判所まできたのに、肝心な判決をぼんやりして聞きのがしてしまって大ショックだった。
判決結果がどこかで発表されてないかとスマホで調べると、刑事事件の判決については検察庁で保管され、申請すれば閲覧できるものもあると書いてあった。
わざわざ検察庁まで行くのは面倒くさいし、行っても閲覧できるのかどうかさえわからない。
たったいまおこなわれた裁判の判決がすぐに検察庁に届いてすぐに閲覧可能になるとも思えない。
「失敗した。仕方ない。あきらめよう・・・」
と思うがあきらめきれない。けどどうしようもない。
別の裁判を傍聴する
このままトンボ返りするのでは裁判所までの電車賃がムダになるので、なにか別の裁判を傍聴して帰ろうと思った。
刑事事件は傍聴したので、次は民事事件がいいかと思って1階のホールに戻って裁判予定のモニターでチェックした。
どうも民事事件は企業が被告になった損害賠償請求事件が多いみたいだ。
単なる金のやり取りについては魅力を感じない。
再度刑事事件の方を調べて、待ち時間が少なかった別の事件を傍聴しにいくことにした。
判決結果を知る男
別の事件は窃盗事件より少し広めの法廷でおこなわれていた(傍聴席56)。
女性が被告で裁判長も女性で週刊誌に載りそうなセンセーショナルな響きの事件なので傍聴席はほぼ満席だった。
その傍聴席で、私は今いちばん知りたい窃盗事件の判決結果を知る男を発見した。
5分間の法廷に一人で入っていった唯一の傍聴人だ。
このチャンスを逃したら永遠に判決結果を知ることはできないと思い、当の裁判が終わって男が傍聴席を立ったところで後ろから追いかけて話しかけた。
拒絶されても仕方ないと覚悟していたけど、彼はすぐに窃盗事件の判決結果を教えてくれた。
執行猶予はつかず、実刑判決だったそうだ。
希望した判決結果ではなかったものの、すっきりとした気持ちで裁判所をあとにすることができた。
教えてくれた人、本当にありがとうございました!
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執筆者:椎名のらねこ
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