なんとか自分を元気にする方法

コロナで生活が楽になったような、苦しくなったような

心の病

この地獄を生きるのだ/小林エリコ

投稿日:

『この地獄を生きるのだーうつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。』は、東畑開人著『居るのはつらいよ』で知って、読んでみた。

自分が心を病んでいるので、ほかの心を病んでいる人の体験記には興味がある。

人生が本になる人は、たいてい自分よりも深刻に心を病んでいる。

小林エリコの『この地獄を生きるのだ』もすごい本だった。

小林エリコのプロフィール・・・

1977年生まれ。茨城県出身。
短大卒業後、エロ漫画雑誌の編集に携わるも自殺を図り退職。のちに精神障害者手帳を取得。
現在も精神科に通院を続けながら、NPO法人で事務員として働く。

子供の頃から、父親が博打をして酒を飲んで暴れるような家庭環境で育ったから、精神心的に不安定な大人になったのだろうか?

自殺をくり返し、実家から精神科のクリニックのデイケアに通う日々を送る。

小林さんには、東京の短大に通って友達と一緒に生活をエンジョイした経験もあった。

労働意欲があり、自立心も強い。

自分と変わらない人間に思える。

が、短大卒業後の就職先がブラック企業で、ワーキングプアな生活に疲れてはてて、自暴自棄になってしまった。

実家から精神科のクリニックのデイケアに通う生活を送るのだが、子供のように母親の世話を受けて生きるのは、それはそれでつらいものがある。

実家から出て自立したいのと、クリニックのすすめで生活保護を申請し、アパートで自活を始めた。

だが、いったん生活保護を受けてしまえば、働きたくても働けないし、とても貧乏だしで、何ひとつ自由にならない生活が始まり、突破口も見えない。

生活保護で生活することのつらさがこの本からヒシヒシと伝わってくる。

生活保護は本当にそれしか選択肢がない人が受けるものであって、すこしでも働ける可能性のある人は、働いたほうが誰にも遠慮せず、自由に自分の人生を生きることができる・・・ということがわかる。

小林さんは努力家でとにかくいつも自分の目標に向かって何かをしようとしている。

そしてついに生活保護を自力でやめて、仕事を得ることができた。

小林さんは子供の頃から家庭環境に恵まれず、短大卒業後の就職先はブラックで、頼みのつなの精神科のデイケアもかなりブラックで・・・と、ツキに恵まれない人生を送ってきた。

でも最終的にはいい会社と小林さんの能力を認めてくれる人に出会えたので本当によかった。

小林さんが理想の人生を決してあきらめず、試行錯誤と努力を続けた結果だと思う。

読むことで元気と生きる勇気ををもらえた。

関連記事:居るのはつらいよ/東畑開人

-心の病,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

ロシアについて

ロシアについて/司馬遼太郎

『ロシアについて』を読むと意外な点が多々あった。 まず「ロシア人によるロシア国は、きわめて若い歴史をもっている」と書かれている。 ロシア国家の決定的な成立は、わずか十五、六世紀にすぎないのです。若いぶ …

見仏記1

見仏記/いとうせいこう/みうらじゅん

いとうせいこうとみうらじゅんが一緒に仏像を見に行く人気シリーズの第1冊目。 私は『海外編』を最初に読んで、面白かったのでシリーズの原点である1冊目に戻ってきた。 ちなみに仏教とか、仏像にはそれほど興味 …

地の告発

地の告発/アン・クリーヴス

(※ネタバレありです) イギリス・シェトランド諸島を舞台にしたアン・クリーヴスの人気シリーズの7作目。 主人公のジミー・ペレス警部は、亡くなった婚約者フラン・ハンターの娘であるキャシーと一緒に暮らして …

クワイ河捕虜収容所

クワイ河捕虜収容所

クワイ河捕虜収容所 (地獄を見たイギリス兵の記録) レオ・ローリングズ(著・イラストも) AND THE DAWN CAME UP LIKE THUNDER by Leo Rawlings 出版日 1 …

007/わたしを愛したスパイ/イアン・フレミング

(※ネタバレありです) 大人気の映画007シリーズだが、原作を初めて読んだ。 1962年に出版されたシリーズ9作目(全12作中)の『007/わたしを愛したスパイ』(The Spy Who Loved …




 

椎名のらねこ

コロナで仕事がなくなり、現在は徒歩圏内の小売店でパートしてます。自分の気晴らしに、読んだ本、美味しかったものなどについて昭和的なセンスで記事を書いています。東京在住。既婚/子なし。