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トラウマは克服できるのか?

投稿日:2019年1月8日 更新日:

目次

・幼少期にうけたトラウマを覚えていない

・どうしても子供を産みたくない

・それで、トラウマは克服されたのか?

・トラウマを克服する方法

■『身体はトラウマを記録する』の感想■

幼少期にうけたトラウマを覚えていない

トラウマを克服するにあたっていちばんの問題は、自分が幼少期に具体的にどのようなトラウマをうけたのかはっきり覚えていないということだ。
トラウマをあたえたのは100%母親であり、しつけと称されるさまざまな暴力や仕置きをうけたことを断片的には記憶しているが、それが大人になった現在の自分にまで影響をあたえつづけているとは十数年前まではっきりとは認識していなかった。

なんとなく自分は他の人たちとは種類のちがう人間で、生まれながらの欠陥品。
まわりの子供たちと同じように自然にふるまおうと思ってもどうしてもうまくできずいつもまわりから浮き上がってしまう。
その苦しみの根本的な原因が幼少期(3歳ごろ)にうけたトラウマにあるとは夢にも思わなかった。
でもその事実が発覚して、それをすべての原因と考えるとこれまでのもやもやが消えて霧が晴れたように頭がスッキリしたのだった。

どうしても子供を産みたくない

20代半ばで結婚したものの、私がどうしても子供を産みたくない、ぜったいに産まないと主張して、家族の中で大問題になった。

双方の両親が私になんとか子供を産ませようとやっきになって次々とやってきては説得しようとした。
その流れの中で、母親がついにこの問題にかんして自分にも責任があるのではないか、過去におこなった厳しすぎるしつけ・言葉の暴力・体罰がこの結果を引き起こしたのではないか?と、考え、私に告白し、許しを求め、考えを変えるように迫ってきた。

ここで自分が幼少期にトラウマをうけたことを初めて知った。
母親は完璧主義でつねに良い妻、良い母親であろうと努力していた。
私も彼女は良い母親だと信じていて、子供の頃にひどい行為をしたなんて想像もしなかった。

でも物心ついたときから母親には説明のできない根源的な不信感がありずっとどうしても好きになれなかった。
もともと性格の相性がわるいこともあり、ことあるごとに衝突をくりかえしていた。
母子関係が人生最大のトラブルだったので、子供を産んで親子関係を再現したくなかった。

だが一方で、夫のために子供を産む可能性も視野に入れて結婚生活を送っていた。
しかし夫は両親に対する依存心が強く、経済的にも自立できておらず、出産費用も両親をあてにしていた。
私は親子関係が苦手なので、双方の両親からは完全に自立して生活したかった。
夫の両親に出産費用を出してもらうと干渉がはげしくなるので、それならむしろ子供など産みたくないと思った。
そもそも子供などまったく興味がないのだ。
夫は親が出産費用を出したがっていることだし、親子なのだからそれくらいは当たり前という考え方で、自立心はゼロなのだった。

結局、夫の父親からは憎悪され、夫の母親は理解を示し、私の両親はあきらめて、現在に至る(それから10年たって夫の父親はもう気にしていない。実の母親とは告白以降ずっと疎遠なままだ。着信拒否。連絡は父親とおこなう。法事などで会うときには普通に接する)。
個人的な事情だけでなく、日本の母子をとりまく現状を見ると、やはりあのとき子供を産まなくてよかったいまでも思う。
夫婦仲は友だち関係に近く、仲は良いほうだと思う。

それで、トラウマは克服されたのか?

実の両親とは数年に一度の頻度で会い、夫の両親とは盆と正月に会っている。
夫は就職してサラリーマンになり経済的に自立をはたした。
すべて順調にみえる穏やかな暮らしがつづいている。
私も母親と顔を合わせないのでトラウマについて考えることもなく、なんとなく自分はトラウマを克服したのだろうと思っていた。

ところが、同じく幼少期のトラウマをかかえる友人がすすめてくれたベッセル・ヴァン・デア・コークの『身体はトラウマを記録する』を読んでいるうちに、途中でトラウマに身体が反応して涙がでて苦しくなってそれ以上読みすすめられなくなってしまった。

トラウマの原因である母親とはしっかり対決したし、父親にも事情を話して過去の状況について理解してもらったし、トラウマの一部は克服できたと思う。
でも、この本でヴァン・デア・コークが目指すのはもっと社会的に充実した人間だ。
「人間は社会的な生き物だ」と彼はいいきる。
人と交流してこそ人間は幸せになれる。

私はいまでも人が苦手でできるだけ他人とかかわらないように、避けるように、最少限の人間関係の中で生きている。
人と目と目をしっかり見つめあったり、人の中に入って活発な会話をかわしたり、ということはとても苦手である。

幼少期にうけたトラウマによって脳の機能・働きに変化があらわれることをヴァン・デア・コークは最新のデータを掲載して証明している。
幼少時、私の脳は自己防衛のために危険な人間(母親)をつねに警戒して、いつでも逃げられる態勢でいるように指令をおこなっていた。
いまは母親とも距離的にかなりへだたっていて、家の中は平和なので気分的にはリラックスしている。
でもいまだに身体は基本的にこわばっていて、緊張状態がつづいている。
マッサージにいって「身体の力を抜いてください」といわれても力の抜きかたが全然わからないのだ。
臨戦態勢が通常の身体の状態になってしまっている。

人間に対する根本的な不信感が消えない。
人間関係を肯定的にとらえられない。
「かかわるとろくなことにならない」と信じている。

結局、トラウマは克服されていないのだ。

トラウマを克服する方法

トラウマは、散らかった部屋をとりあえずきれに見せるために、邪魔なものをとりあえず押入れに突っ込むように、脳の奥のほうにぐちゃぐちゃに放り込まれている。
知らんぷりしていても、脳の回路は対トラウマ仕様に変えられているので、日常生活に支障がでる。
私みたいにトラウマの原因がそこになくても脳は「警戒モード」の指令を送りつづけ、私はまわりに母親が存在しないのに、警戒し、緊張しつづけ、ムダなエネルギーを消費していつも意味なく疲れている。

『身体はトラウマを記録する』を読んで、私も含めトラウマサバイバーとは、かつて限りなく無力だった時代に、強大な敵に対して自己防衛のために死にもの狂いで戦わざるをえなかった人たちで、目の前から敵が立ち去ったあとも、一人で自動運転のように立ち回りをつづけている人たちのことだとわかった。
まるでドラゴンに立ち向かう小さな子供のようで、ファンタジーの世界であれば超人的なスーパーヒーロー/ヒロインではないか?

とりあえず、トラウマの原因を自覚して、それをできるだけ言葉で表現する。わけのわからない混乱に飲み込まれるのではなく、客観的に自分の身体や心を見つめて、それを観察するのが重要だ。

プロが介入して、イメージの世界でかつての自分を現在の自分が救ってトラウマを克服するというシナリオもある。

私はあまり実践していないけれども、呼吸法やヨガ、ダンス、演劇などで実際に自分の身体を動かして、自分の身体を自分で自由にコントロールできるのだという感覚を身につけるのも有効だ。

さらにそういったトラウマ対処法を他人とわかちあうことは非常に効果があるという(他人と交流してこそ人間は幸せになれる)。

自分の課題としては、まずは身体を動かすことと、最初から「うまくいかない」と決めつけず、できるだけ他人と話してみることかな(両方苦手なことだ)。さっそく『身体はトラウマを記録する』で紹介されていて、アマゾンの評価も高かったヨガの本を注文してみた。

トラウマをヨーガで克服する – デイヴィッド・エマーソン他(紀伊國屋書店)

『身体はトラウマを記録する』には、カウンセリング、EMDR、ニューロフィードバック、ヨーガ、ダンス、演劇、実際の成功例などトラウマ関係の最新の治療法・情報が多数紹介されている。ヴァン・デア・コークの30年間の研究・努力・成果の集大成といえる一冊だ。
興味のある人は読んでみてください!

■身体はトラウマを記録する – ベッセル・ヴァン・デア・コーク

身体はトラウマを記録する – ベッセル・ヴァン・デア・コーク(紀伊國屋書店)

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椎名のらねこ

コロナで仕事がなくなり、現在は徒歩圏内の小売店でパートしてます。自分の気晴らしに、読んだ本、美味しかったものなどについて昭和的なセンスで記事を書いています。東京在住。既婚/子なし。

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