客を値踏みするクセがついた
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◎元気に声を出せば売れる?
試食販売の仕事を始めて5年くらいになる。
販売を始めた当初は無邪気なものだった。一生懸命がんばって商品をおすすめすれば、お客さんは買ってくれるものと信じていた。
研修でも「元気に声を出すこと」がとにかく重要だとおそわった。
◎ない袖は振れない?
現実には、お客さんにはそれぞれの予算があるのだと分かった。
「ない袖は振れない」ということだ。
だから、袖のないお客さんに商品をすすめても「これ、おいしいね!」と言ってもらって終わりである。
それが分かったので最近は省エネモードになっている。
まずはお客さんに袖があるかないかに関心が向く。
どうやってそれを知るのか?
◎お客さんの予算の見きわめかたは?
お客さんの身なりを見て品定めする人もいるかもしれないけれども、自分にはそれを判断する目がそなわっていないのでやらない。
また、家やファッションにお金をかける人の中にはそのぶん食費を節約するタイプの人がいることも経験で知っている。
逆に自分もそのタイプだが、家やファッションには無頓着で、食べればすぐに消えてしまうはかない食べ物に喜んでお金をつかう人もいるのだ。
だからついついお客さんの買い物カゴの中を覗いてしまう。
最近けっこうあからさまに覗いてしまうクセがついてしまった。お客さんにも見ていることがバレているし感じが悪いと分かっている。でもなぜかやめられない。
◎試食販売のジレンマ
試食販売では高価な商品を販売することもある。
値引きシールがはってある商品ばかりカゴに入れている人は、まず高級食材は買わない。
でもそういうお客さんにかぎって、積極的に試食してくれる。
逆に、高価な牛肉などを購入するお客さんは、いつもそういう肉を買ってたくさん食べ慣れているので、変な話だが試食しなくても見ただけで味が分かるのだ。
だから、試食するお客さんは買わなくて、試食しないお客さんが商品を購入するという逆転現象がしばしば起こる。
◎お客さんとの攻防戦?
とにかく試食するのが好きなお客さんに、たとえば高級なステーキ肉をどんどん食べられて試食用のサンプルがなくなっていく。
サンプルはだいたい全体量の1割~2割といった制限があるものだ。
もしかしたらお客さんは「商品は売るほどあるのだからたくさん食べてもOK」とイメージしているのかもしれない。
もともとその商品を買う気がないお客さんはせめて試食で味わいたいと思う。
でも販売員は、商品に興味があるお客さんに試食を味わって買うか買わないか判断してほしいと思う。
このお客さんとの攻防も試食販売の醍醐味のひとつだと思う。
◎スーパーに神あり?
だが、不思議なことに、試食専門のお客さんと購入専門のお客さんは見えない部分でつながっている。
試食専門のお客さんががサンプルを5~6個食べたら、購入専門のお客さんが試食をせずに商品を1個買う、というおかしなパターンが存在する。連係プレイなのだ。
「捨てる神あれば拾う神あり」ということかもしれない。
関連記事:マネキンが楽しい件
執筆者:椎名のらねこ
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