ジャングルへ行く!:医者も結婚もやめて/林 美恵子
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(※ネタバレありです)
林美恵子著『ジャングルへ行く!』を読むと、『こんなに面白い人がいるんだ!』と感動させられる。
親が医者で、本人も医者となるべく育てられ、実際に東京で整形外科医として毎日忙しく働いていた林美恵子氏。
ある朝通勤電車の中で、今の生活が永遠に続いていくことに疑問を抱き、立ち止まって考えた。
1990年9月、30歳のときだった。
『仕事だけの人生は嫌だ』という結論に達したので、ほどなく仕事をやめた。
大好きな秘境めぐりをしようとガラパゴス諸島のツアーに申込むと、空きがなくて半年待ちだと言われた。
仕方ないので、マダガスカルで1か月のトラック・ツアーに参加した。
このツアーは苛酷すぎて、またマダガスカルという島国とも相性がよくなくて楽しめなかった。
次にインドネシアのコモド島で、コモドドラゴンを見た。
次にジャワ島とボルネオ島のジャングルを制した。
翌年に結婚を控えていたので、親と婚約者からの風当たりはとても強かった。
しかし年末にガラパゴスに予約がとれたので、ブラジルのアマゾンとセットにして独身最後の?大々的な秘境ツアーを組んだ。
飛行機を乗り継いで、ブラジルのマナウスに到着した。
翌朝、現地の日系旅行社に電話をして9日間のジャングル・クルーズを申込んだ。
直接旅行社に来るように言われたのでタクシーで行き、ガイドのTさんと顔合わせしたり、サービスで市内観光に連れていってもらったりした。
翌朝スタートしたジャングル・クルーズのメンバーは、美恵子氏とガイドのTさんと小さな観光船の運転手(ジンウ)の3人だった。
初日はどしゃ降りだったが、アマゾンをのぼり、昼は水上のレストランで持参したブラジル・ビールを飲み、牛肉、魚、野菜、ご飯、スパゲティの昼食をとった。
このときに初めて現地の主食であるマンジョーカ芋の粉(ファーリーニャ)を食べた。
歯で噛みきれない硬さの食べ物で、どうやって食べるのかといえば、おかずの牛肉の煮物などにザーッと振りかけて、噛まずに飲み込むのがコツらしい。
夜は河べりの民宿に泊めてもらった。
ブラジルではハンモックが布団やソファー代わりみたいで、昼休憩もハンモックの上、夜寝るのもハンモックの上ですませてしまう。
慣れれば快適で、現地の気候・風土に合っているのだろう。
夕方近くにワニ狩りをした。
Tさんがモリでワニを突いて、つかまえた。
1メートル半くらいのワニで、記念撮影してリリース。
民宿に戻って夕飯。魚のスープ。
食後酒はカイピリーニャ。
ジャングル・クルーズ2日目の午前中はピラニア釣り、船上でビール。
午後はトクナレ(ピーコックバス)釣り。
3日目は運転手のジンウに誘われて、河べりにあるジンウの実家に行って泊めてもらった。
ここでもハンモック。
4日目は上流のクイエラで、河岸に建てられた高床式の民家に泊めてもらう。
翌朝、その家のお兄ちゃんのガイドでジャングル・ツアー。
アマパというミルクの出る木の樹液を飲んだり、シッポ・ダ・アグア(水の蔓)のおいしい水を飲ませてもらったりした。
いろいろな生物の存在があったが、予定していたサル狩りはかなわなかった。
ジャングル・ツアーの置き土産はムクインというオレンジ色のダニだった。
毛穴に入り込んでしまうムクインの取り出し方はかなり独特のものだ。
独特といえば、『ジャングルへ行く!』は全編、独特の内容がぎっしり詰まっている。
後半の美恵子氏がマナウスを気に入って移り住んだはいいものの、仕事がなくて苦戦する話も読みごたえがある。
現在行き詰まっていて突破口をひらきたい人におすすめの一冊だ。
執筆者:椎名のらねこ
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