なんとか自分を元気にする方法

コロナで生活が楽になったような、苦しくなったような

イギリス

クリスマスのフロスト/ウィングフィールド

投稿日:

(※以下ネタバレあり)

イギリスの小説などにはまってずっと読んでいるが、探求すればするほど面白い作品が奥からどんどん出てくる感じだ。

今回読んだ『クリスマスのフロスト』は、のちに大人気となるフロスト警部シリーズの1作目。

いままでにないめちゃくちゃなキャラクターなので新鮮味があり、文字どおり面白い。

フロストのだらしなさ、汚さ、駄目さ、下品さは群を抜いている。

日本でいえば落語の与太郎的な、読んでいる私たちの誰よりも駄目キャラで、だからこそ身がまえず安心して小説を読めるし、のんきで楽しい気持ちになれる。

どちらかといえばイギリス人には真面目な人が多い印象だったので、フロスト警部はしゃちこばった世界からの救いの神に見える。

警察の仕事の大半は書類仕事だという。

フロスト警部は書類仕事が大嫌いだ。

署長に直接指示されても無視したり、忘れたり。

フロスト警部は社会人として「大丈夫か?」というほど記憶力が悪い。

大事なことをメモしても、メモを見るのを忘れるのでメモしないレベル。

『クリスマスのフロスト』では地方都市のデントン市で8歳のトレーシーという女の子が行方不明になるところからストーリーが始まる。

トレーシーの母親ジョーン・アップヒルの職業は娼婦なので、限りなく深刻な状況なのにどこかなまめかしくセクシーな雰囲気がただよっている。

トレーシーの失踪について捜査する警官たち全員ジョーンが娼婦であることを了解している。

フロスト警部と行動をともにすることになった新米刑事のクライヴ(ロンドン警視長の甥)はジョーンの色香にクラクラだし、フロスト警部はお決まりの下品なジョークの連発だ。

エンターテイメント要素満載のフィクションらしいフィクションで良い。

お行儀の悪いイギリス人が見たければ『クリスマスのフロスト』がイチオシだ。

東京創元社の『クリスマスのフロスト』公式ウェブページ
http://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488291013

関連記事:イギリスを知るためのおすすめ本

-イギリス,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

魅せられて、バリ島

魅せられて、バリ島/中田ゆう子

バリ島の魅力 バリ島旅行から帰って読んだ本。 バリ島は評判以上に素敵で、気持ち良く、夢中になってしまった。 バリ島をあらわすには、「神々の島」という言葉がいちばんぴったりくる。 バリ島に一歩踏みいれた …

ラドヤード・キプリング著『少年キム』

少年キム/ラドヤード・キプリング

キプリングとインド 大英帝国時代(インド統治期間は1858-1947)、植民地のインドなどに赴任し、その地で子供を産み、育てるイギリス人は多かった。『少年キム』の作者であるラドヤード・キプリングは、イ …

高峰秀子/夫婦の流儀

高峰秀子 夫婦の流儀

(※ネタバレありです) 人気女優の高峰秀子と監督/脚本家の結婚は、今の感覚でいえばちょっと風変わりなものだった。 結婚を打診された時点で、高峰は松山のことを仕事の関係者の1人としてしか見ていなかった。 …

インドへの道

インドへの道/E.M.フォースター

難解な“A Passage to India” Myイギリスブームの一環でフォースターの『インドへの道』を読もうと思った。 英語の勉強もかねて原書の”A Passage to India& …

愛さずにはいられない/藤田宜永

感想 藤田宜永と同じく作家である妻の小池真理子が推薦していたので買って読んだ。 「母と一緒にいることが、僕の人生の最大の不幸としか思えなかった」 ・・・という記述がある藤田宜永の自伝的小説だ。 私自身 …




 

椎名のらねこ

コロナで仕事がなくなり、現在は徒歩圏内の小売店でパートしてます。自分の気晴らしに、読んだ本、美味しかったものなどについて昭和的なセンスで記事を書いています。東京在住。既婚/子なし。

お問い合わせ先:siinanoraneko@gmail.com